「俺、死ぬかも…」

幸先早々死にかけている俺の名前は竹谷八左ヱ門。
この世界に数多と存在するモンスターを狩るモンスターハンターに憧れを抱き早14年。
先にハンターとして村を出た幼馴染から手紙が届き、ユクモ村と言う場所を目指して出発したのは良いのだが…。

「久しぶりに会えるのが嬉しくてあんまり見て無かったけど、この地図テキトー過ぎるだろ!」

ユクモ村を知らない俺の所に手紙と一緒に幼馴染が書いたであろう地図も入っていたのだが、その地図が子供の落書きの様にはっきり言って雑なのだ。
一応地図通りに山道を登り下り獣道をひたすら歩き続けて来た。
が、今更だが本当にこの地図を信用してこのまま進んでも良い物か…
もし間違った道を歩いているとしたら一生辿り着く自信がない。
霧も濃くなって来たし…

「駄目だ…腹も減ったし、流石にげんか…い‥…」

体力も精神的にも限界に来ていた俺はそこでプツリと意識が途絶えた。
そして、次に俺が目を覚ましたのはガラガラと車輪の音をさせる荷車の上だった。

「ニャ?旦那、目が覚めたかニャ?」

「俺…生きてるッ!!」

「旦那、道のど真ん中に行き倒れてたんですニャ。荷車に乗せるのにそりゃ〜苦労したですニャ」

「ハハッ…助かった。ありがとな!」

「どういたしましてニャ。此処で会ったのも何かの縁ですニャ!旦那の目的地まで送って行きますニャ」

「本当か!?」

男に二言は無いですニャ!と胸を叩く御者はアイルー族と言ってネコ型の獣人族で、人の言葉を理解し、この御者の様に仕事をしたり人と共に暮らしているアイルーやハンターと共に狩りをするオトモハンターも居たりする。

「で、旦那は何処に行くんですかニャ?」

「ユクモ村って所なんだが…?」

「ユクモ村ならこの先にある村ですニャ。あそこは温泉がとっても有名で各地から旅行者が来るのですが最近はめっきり人が来ないですニャ…」

「何かあったのか?」

「最近はモンスターが村の近くまで来るので、ハンターじゃない人は怖がって来なくなってしまったのニャ…」

商売上がったりニャ〜と零す御者はユクモ村までの観光客を運ぶ仕事も生業にしている様で最近の稼ぎが減ったと嘆いている。
アイルー社会も大変なんだな…。

「雲行きが何だか怪しくなって来たですニャ」

「本格的に降り出しそうだな」

「急いで走らせますニャ!」

急ぐニャ!と御者は荷車を引くガーグァに鞭を入れる。
曇天の空からゴロゴロと雷の鳴り響く音と共にぽつりぽつりと予想通りに雨が降り始めた。
この時、俺は何だか嫌な予感がした。
こう見えて俺の嫌な予感ってのは昔から良く当たる。
心の中で外れろ、何事もなく俺をユクモ村に連れて行ってくれ!と願うがその願いも空しく俺の嫌な予感は見事に的中し、森の奥深くから村の中に居れば一生見る事の無かったであろう何かが現れた。



狩人への道



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