俺と勘右衛門は、この間はれて恋仲になりました。
勘右衛門と恋仲になるには、それはそれは大きな壁が有りまして、それは同室の久々知兵助という壁です。

久々知兵助という男は、端から見ても分かるぐらいに尾浜勘右衛門を溺愛していて俺と勘右衛門が一緒にいると何食わぬ顔で邪魔しにくるわで、俺は勘右衛門になかなか告白出来ずにいましたが1ヶ月程前、兵助が任務で2日程出掛けなければならないという幸運が舞い込んで来ました。

このチャンスを逃すまいと勘右衛門を呼び出すが、今度は三郎に邪魔をされてしまいました。
どうやら三郎は兵助に頼まれたようで、顔が嫌みったらしく笑っていたのが兎に角腹立たしかったです。

俺は試行錯誤を繰り返し、何とか三郎を勘右衛門から引き剥がす事に成功し、兵助が帰って来る前にと思い急いで勘右衛門に告白しました。
そしてはれて俺達は恋仲になった訳ですが、それからも兵助の妨害やら三郎の嫌がらせを受けて、その時の俺はまだ勘右衛門と手すら繋いだ事がない程、恋人らしい事は何も出来ていませんでした。

でも先日やっと、雷蔵の協力も有り何とか手を繋ぐ事には成功しました。
凄くドキドキして、正直その時なにを話したかすら覚えていません。
そして、俺も健全な男な訳で手を繋ぐ以上の事をしたい、と思うのも普通な訳で前回協力してくれた雷蔵に協力を頼んだら快く引き受けてくれました。

そして、今まさに勘右衛門と二人っきりになれた訳なんですが、勘右衛門は風呂上がりらしく、ほんのりと頬を赤く染め、黒く艶やかな髪を下ろしていて普段の勘右衛門も、もちろん可愛いけれど、今の勘右衛門は何というか艶めかしいといいますか…
俺がそんな事を悶々と考えていると不意に声を掛けられた。

「はっちゃん、用事ってなに?」

「えっ!?あぁ、用事ね!用事…えーっと…だな、その〜つまり俺達って恋仲…だよな?」

「そうだと俺は思ってるけど…はっちゃんは違うの?」

「違わくない!全然違わくない!!」

俺は慌てて恋仲だと勘右衛門に主張した。
勘右衛門はそんな俺を見て、少しはにかんだ顔でそれで用件はなに?と聞いて来た。
俺はそのはにかんだ顔に更に心臓がバクバクと脈打ち、その内爆発でもするじゃないかとさえ思えた。
そして、俺は自分に落ち着け〜落ち着け〜と念を掛け本題に入った。

「あの……その〜俺達恋仲な訳だし?その…勘右衛門が嫌じゃなければ‥なんだけど…その、せっ…接吻とかしたいな〜とか思ったり?」

俺は、アハハハと自分の頭を掻きながら勘右衛門を見ると、勘右衛門は大きくて真ん丸な目を更に真ん丸にして誰が見ても分かるくらいに顔を真っ赤にした。
そして俺から目線を逸らすように下を向いてしまった。
やっぱり駄目だったかと思い俺は慌てて冗談だといおうとした瞬間、小さくて今にも消え入りそうな声で、いいよと答えてくれた。
そして目を瞑って此方を向く勘右衛門に頭がパンクしそうになりながらも応えてくれた事が嬉しくて、そっと勘右衛門の肩を引き寄せ口付けしようとした瞬間、スパァアアアアアン!!という音と共に兵助が現れた。

「へっ‥兵助!!?」

「は〜い、そこまでー。それ以上はまだ認めてないんで、離れてはなれてー」

俺と勘右衛門との間に兵助が割り込んで来て俺達は引き剥がされた。

「それじゃ、夜も遅いし勘ちゃんは連れて帰るから」

そう告げた兵助は状況を理解出来ずに混乱している勘右衛門を立たせ、部屋を出て行く瞬間、兵助は此方を向き声を出さずにスケベと一言、言い放ち勘右衛門を連れて部屋を出て行った。




キスは契約違反です


(残念だったな、ハチ)
(ごめんね!兵助勘が鋭くて)
(いいんだ、謝らないでくれ。
余計惨めに思えて来るから…)




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