「自業自得って言葉知ってる?」

寝ていた布団から上体を起こし、幾分か顔色の良くなった八左ヱ門に、勘右衛門は持ち込んだお粥を蓮華で掬い、ふーふーと冷ましながら、はい、と八左ヱ門の口元に運んだ。

「この寒空の雨降りの中を傘もささずに走り回ってれば風邪引くのなんて分かりきった事じゃないの?」

「ごもっともです…」

「…で、何で一人でジュンコの捜索なんてしたの?」

「いや、だって後輩に風邪引かす訳にもいかねぇし…」

はぁ…、と勘右衛門は深い溜め息を吐き、冷ました粥をまた八左ヱ門の口元に運びながら、言ってくれれば俺も一緒に探したのに、と呆れながら口にした。

「そ、それは、ちょっと…」

「なんだよ?」

「…勘右衛門に風邪引かすような事はしたくないっつうか…」

勘右衛門は一瞬言われた意味が分からずにきょとんとしたが、直ぐにぷいっと顔を逸らして、俺は八左ヱ門と違って体調管理ちゃんとしてるから風邪なんて引きません!と少し顔を赤らめながら一気にまくし立てた後、さっさと飲めと言わんばかりに粉薬と水の入った湯飲みをグイッと八左ヱ門に突き出した。

「…あ、あのさ」

「なに?」

「こういうのって飲ましてくれるんじゃないの?」

「ななななにいって?!!」

勘右衛門は、ボンっと音が聞こえそうな程、一気に顔を赤く染めて、ただでさえ大きな目を更に見開いた。

「いや、だってよくあるだろ?恋仲の相手が風邪引いた時とかに口移しで飲ませたりとか」

「そ、それは読み物の中の話だろ!!な、なんで俺がそんな事しないといけないんだよ!」

「嫌か?」

「嫌とか嫌じゃないとか、そ、そう言う事じゃなくて…」

下を向いてもごもごとし出す勘右衛門に八左ヱ門はもう一押しと言わんばかりに、今回だけ、と勘右衛門に頼み込めば、勘右衛門は渋々と言わんばかりに、今回だけだからな!と顔を赤くしながら言い放ち粉薬と水を口に含んだ。

「…………」

勘右衛門は八左ヱ門に顔を近付けて、恐る恐るその唇に口付けを交わしながら口に含んでいた薬をなんとか流し込み、ホッと胸をなで下ろして離れようとすれば八左ヱ門の腕が頭の後ろに回り、そのまま後頭部を押さえ込まれ、驚いた勘右衛門が抗議の声を上げようと開けた口の中にヌルリと八左ヱ門の舌が割り込んで来た事で言葉を紡ぐ事が出来なくなってしまった。

「んっーッ!!?」

八左ヱ門は勘右衛門を追い込む様に舌を絡めながら上顎や歯茎を舐め回し優しく歯列をなぞる様に舌を這わせば、手を突っぱねて抵抗していた勘右衛門から力が抜け、ぎゅっと八左ヱ門の寝間着を握り締めながら、ぐったりと寄りかかって来た。
それを確認した八左ヱ門が、チュッと音を立てながら勘右衛門の唇を解放してやれば、勘右衛門の瞳は既に潤みきってトロンとしており、うっとりと八左ヱ門を見詰めていた。
その様子に八左ヱ門は口の端を吊り上げ、急く様に勘右衛門の腰紐をするりと解いた。










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