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「スッモやーん!」

いつも通りの時間に起床し、いつも通り身なりを整え部屋を出ると、後ろからバカ丸出しの声が聞こえてきた。誰かはわかっているので振り向かずに歩き続ければドーン!と背中に鈍い重みがかかった。

「スモやんおぱおぱ!今日も抱きつきたくなる背中してますね!うーん、ラブ!」

「…普通の挨拶が出来ねえのかバカ野郎」

ぎゅうっと腰に回された手を無理矢理引き剥がしまた歩を進めるとナマエも並んで歩き始めた。何が嬉しいのかうきうきとスキップまでしている。と、思い出したように俺を見上げ口を開いた。

「あっ、そういえばスモやん、今日はホワイトデーとスモやんの誕生日ですよ!おめでとうございますお返し下さい!」

「後でな。今は持ってねぇ」

「えっ、スモやんあんな出来損ないのチョコでもお返しくれるんですかやっさすぃー!さすが海軍中将は器が違うね!」

「テメェがお返し寄越せってしつけぇからだろうが!あんなネガまで使って脅されたらお返しの一つや二つ用意するに決まってんだろ!」

「てへぺろっ!ちなみにスモやんのお風呂上がりを激写したあのネガはわたしの机の前に貼ってあります!」

「なっ…さっさと処分しねぇか!」

「えぇー、せっかくスモやんのあそこがばっちり写ってるのにー?」

「減給するぞ」

「むきーっ!職権濫用はんたーい!」

ぷんすか!という形容がぴったり当てはまるようにナマエは唇を尖らせて俺を軽く叩いた。チッと舌打ちをして葉巻をくわえるとナマエはあっと声をあげて立ち止まった。

「しまったしまったわたしヴェルゴさんに用事あったんだ。スモやん名残惜しいけどわたし行きますねさようなら!」

制服を翻し今まさに走り出さんとしているナマエの肩を掴みそれを阻止する。

「ちょっと待て」

「なんでちゅかースモーカーさん寂しくなっちゃったんでちゅかー?聞き分けのないこと言ったらめっ!でちゅよー?」

「黙れクズ張り倒すぞ」

「ひどいやスモやん!」

なんでこうもバカ丸出しの会話しか出来ないんだ…。これで海軍大佐だなんて海軍の汚点だ。咳払いを一つして気を取り直し、不満げな顔をしているナマエに尋ねる。

「つーかテメェ俺には散々お返しねだっておきながらまさか俺にプレゼントないってことはねぇよな?」

「…えっ?」

ねぇのか。
明らかに目が泳いでいるナマエに思わず嘆息が漏れた。

「テメェ…」

「いやだってそんなまさかスモやんがプレゼント欲しがってるなんて思いもしなかったし!」

「お前減給確定な」

「ちょっと待ってそれだけはしちゃいけねぇやスモやん!天国のおっかさんもそう言ってるよォ!」

「うぜェな天国に母親なんざいねぇよ」

「待って待っていま考えるから!」

がさごそと制服のポケットを探るナマエ。何かあったのかズボンの右ポケットから手を引き抜いた。

「じゃ、じゃーん!スーモキーホルダー!やったねスモやん!ほら、スーモとスモでいい感じスモ(?)」

「…」

「…じゃ、じゃあそういうわけで…さいなら!」

ダッと華麗にクラウチングスタートを決めたナマエの前に能力を使って先回りして立ちはだかる。ヒィ!と隠すこともなく悲鳴をあげたナマエに先程の妙なキーホルダーを突き返す。

「スモやん怒んないでごめんなさいもうお返しいらないです本当ごめんなさい生きててごめんなさい」

素早く土下座をするナマエに言う。

「…今夜暇か」

「はいそりゃもう絶賛暇でございます予定の入る隙なんて一ミリもございません」

「メシ、付き合え」

「え」

「それでいい…プレゼント」

「え」

「もう行っていい」

「スモやん顔が…赤い…」

「さっさと行け!」


Happy Birthday To You


(スモやーん!ヴェルゴさんに話したらG5でスモやんの誕生日パーティーやってくれるってー!)
(…)
(ごめんなさいスモーカーさんっ…止めたんですが…)
(…あぁ、気にするな、たしぎ)
(スモやーん!誕生日おめでとーう!)




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