act 49
ピピピピピ……ピピピピピピ…………。
ほんの微かに、鳴り始めたその音に反応した男の体は、大きなベットの中で、もぞりと動いた。
まだ意識を覚醒していないらしく、片手をだし、その鳴る方へと手を伸ばす。
まもなく届いた手は、その一番上を押した。
ピッ――――――。
音が止まった事に安心したのか、男は再び布団の中へと手を戻し、静かに寝息を立てだした。
「――――――じゃねえよ――――――っ!!」
軽快につっこみを入れた沖田は、そのまま勢いよく起き上がった。
そのまま、寝室を飛び出すと、リビングへと。
その手は既に着替えを済まそうとして服へ。
すんなりとそれが出来たのは、昨夜から一人の彼女の為にと色々と準備を終えていたため。
仕事のスーツではなく、この日の為にと思って買った服を着て。
時計を確認してみる。さすがにまだまだ時間はあるようだった。
朝食は、彼女である神楽と一緒にとる予定である。
それもこれも、今日と言う日は、自身にとっても、また神楽にとっても、特別な日になる予定だからだ。
でも、まだそれは彼女には秘密である。あくまでこれは、神楽に贈る、最高のサプライズだ。
沖田がこんな事を考えたのも、先日の高杉とまた子の一件を目のあたりにしたため。だから、間違っても失敗なんてできるはずもなく。
着替えを済ませ、そのまま洗面所へと行くと、しばらく時間を費やし、また寝室へと戻ってきた。
ベットの横にある、棚に、小さく、でも大きく主張する小さな箱をとった。
ゆっくりと、それを開けて見る。
そこには、神楽の細い指に似合いそうな、小さな小さな、光り輝く、結婚指輪があった。
今日は、これを渡し、彼女の指へとはめ、大事な言葉を贈る日だ。
神楽は、もう起きているだろうか? 昨夜、散々寝坊するなよとクギをさしたのはいいけれど、あの彼女の事だと不安もあって。
神楽は、喜んでくれるだろうか? 自身の言葉に、YESと返事をしてくれるだろうか?
思いながら、沖田はそれを閉じた。
ピロリロリン……ピロリロリン……ピロリロリン――――――。
やわらかな音色が、彼女の枕元で響き渡る。それを夢見心地で聞いているのは、神楽だ。
その様子に、まったく起きると見られることはなく。
手元には、遅くまで沖田と、話していた携帯電話が。
静かに寝息をたてる神楽の枕元で、その役割をはたしたかの様に、目覚まし時計がとまった。
そんな事をしるよしもない彼女は、ただただ、夢の中へと居て……。
ピクリ――――ッ。
神楽の体が、何かに反応した様に動いた。
けれどまだまだ彼女は夢の中、そしてそれを上から見ながら、更に、その手を中へとしのばせる。
ヒクッ。
自身の体がその手に反応したのに、やっと気づいた神楽は、ゆっくりと瞼を開けた。
「ひゃっ、おおおお沖田 !!!」
信じられないと言うべきか、信じたくないと言うべきか、神楽のベットの枕元、そこには確かに、昨日迎えに来るから用意しとけと言われた沖田の姿があった。
「いい眺めですぜ? 神楽さんよ?」
皮肉交じりに沖田に、言われたのは確かに納得がいくべきで。なんせ昨夜暑いからと、Tシャツ一枚で寝たのだから。
沖田の掌は、今まさに自身の柔らかな胸の上にやんわりと置かれていて。
それを、ゆっくりと動かした。
「朝っぱらから誘ってくるなんざ、さすがですぜ?」
「わっ……な、何するアル――――――っ」
恥ずかしそうに神楽は体をくねらせる。しかし沖田の掌は、まるで仕返しとばかりに、その神楽の敏感な場所をひっかいた。
「やっ、ヤメロォっ――――――」
恥ずかしそうにはしているものの、その神楽の先端は、おもしろい様に敏感で……。
「はぅ……」
恥ずかしいと唇をかみ締める。やめてと沖田の手を退かそうとする。が、その手には、まったく力が入っておらず。
仕返しとばかりに、やりはじめたのは沖田の方だったのに、神楽の口から発せられる甘い吐息と、表情、感触に、早くも没頭しそうになってしまう。
沖田から与えられる甘い感触に、もう既に神楽は落ちている。半開きになっているその唇の間に、沖田がゆっくりと重ねると、神楽の熱が口内に絡みついた。
卑猥な音と共に、お互いの熱は、こんなにも短時間だというのに、あがってしまった。
沖田の掌は、神楽の大きくなった胸を、やわらかく揉みしだく。それにともなって、与えられる官能に神楽は酔ってしまい。ピンと張りつめた先端は、沖田の指に絡み、すいつく。
神楽の息は、これでもかと甘い。これもそれも、しばらく二人して、おわずけ状態でいた為だった。
だから神楽はこんな朝っぱらかと思うのに、沖田の指先に純粋に感じていたのだった。
沖田の耳に、おしげもなく神楽の官能まじりの甘い声が響き渡る。
が、今日は、沖田にとって、大切な日である。
ゆっくりと、その手を止めた。
神楽の表情は、とろけきっている。仕掛けたのは自分の方だから、後悔は山ほど。けれど今日は譲れないものがある。
だから沖田は、神楽のおでこにちゅっと唇を落とすと、早く着替えろと、その部屋を後にしたのだった。
・・・・To Be Continued・・・・・
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