act 48

僅か漏れた高杉からの台詞の合間に、ゆっくりと、風が流れて行く。
また子は、何も言葉を発しないまま、ただ高杉の方を見ていて。

彼から出てくる、その大切な言葉を、待っている。
ヒクリと、喉がなった。緊張して、からからになった。

高杉は、何かをかんがえる様に、ゆっくりと、瞼を閉じた。

でも、その言葉は、高杉から、出てこなくて――――。

また子は、静かに目を綴じた。それが、とても、泣いてる様に見えて……。

(……俺は……)

ゆっくりと、また子は瞼を開けた。
シン……とした空気が、二人を包む。高杉に抱きしめられたその中で、また子はゆっくりと口をひらいた。

「そんな顔……しないでくださいッス」


高杉は、まっすぐにまた子を見つめてくるものの、言葉を発しようとはしない。
「もう、いいッス。だからそんな顔しないで」
言いながら、また子は高杉の腕の中から出ようとした。でも、それを高杉は許そうとはしなくて。

高杉が、どうしたいのか、分からない。
自分を……ちゃんと思って、くれているのだろうか?





「――――――――愛してる」




高杉の口から、漏れた言葉……。

本当は、もっと、違う所で、ちゃんと用意していた物の前で、かけられるべき言葉だった。
でも、もうそれは、待ちきれなかったかの様に、でてきてしまった。




「俺はお前を、愛してる」


「あ、あ……い……」

高杉の口から出てきた言葉を、信じられない様な面持ちで、また子は繰り返した。
もう言わねえ、高杉は、そう真っ直ぐにまた子を見つめた。

ふわりと、高杉の手が、また子の頬を触った。
そこから、ゆっくりと髪をすくい、ゆっくりと、自身の唇にへと引いた。
柔らかいおうとつを埋める様に、優しい感触が、二人に届いた。暖かいそれは、また子の唇に、優しくふれて、そして離れた。
斜めかげんの、また子の顔を見ると、ゆっくりと、高杉はその手をとった。
その細い指を、辿り、ひき……、薬指へと、口づけた。

優しく、優しく……。キスをした。



また、泣きそうになった自分を、必死でこらえた。
でも、彼から出てきた言葉があまりにも、嬉しくて、嬉しくて――――。

「また子」 
呼ばれた名前に、胸をときめかせて。
息を、ゆっくりと吸い込んだ。





「俺の――――プロポーズ、受けてくれるか?」

また子は、無言で、俯いて、泣いてた。
嬉しくて、嬉しくて、たまらない。

「ふっ――――、は、はいっ、はい――――」






涙が、止まらない――――。




愛してる……愛してる……。愛して病まないのは、自分の方だ。

貴方だけ。

ゆっくりと、瞼を閉じた。
ふわりと、高杉が笑った。それはとても柔らかい笑顔で、また子を包み込んだ。




・・・・To Be Continued・・・・・



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