act 28



 ※ こちらの、お話には、性表現が含まれます。
ご了承した上、ご覧下さいませ。




神楽の肩を抱いて、足早に歩く沖田の脳裏に、さっき逃げていった男の事が浮かばなかったわけじゃなかった。けれど沖田の思いも、すぐ横にいる神楽の苦痛そうな表情を見ると、すぐに消えた。
神楽は、沖田に肩を抱かれながら、ほとんど自身の足で歩けてはいなかった。足を動かすたびに襲う甘く憎らしい快楽に負けたくないと、必死で理性と戦っていた。

二人は歩いたが、そう長くも神楽がもたないと踏んだのか、沖田は、ボロく使われていない家の裏へと神楽を連れ込んだ。

「しっかりしろ。大丈夫か?」
神楽の肩を両手で掴んだ。快楽と戦う事に疲れたのか、神楽は虚ろな目をしていた。咄嗟、沖田はあの神楽を思い出し、声を張り上げた。
「オイ、神楽!! しっかりしろ――――っ」
沖田の声にハッとし、意識を飛ばしかけていた神楽は沖田と向き合う形となった。神楽は目を見開いた。
「やっ!! 嫌アル!!」
殆ど無意識に沖田を突き飛ばした。さっき片足で踏ん張れた沖田の足も、今度はよろめいた。しかしすぐに神楽の体へと手を伸ばす。
「辛れーんだろィ?! 我慢するんじゃねえって言ってんでィ!!」

皆から離れてみたものの、正直、どう神楽に触れていいのかが分からない。『俺がなんとかしてやる』 そう言った自分の気持ちに偽りはないが、神楽と体を重ねていない沖田が躊躇してしまうのは、仕方なかった。
神楽はその場へ尻をつき、座り込むと、膝を立て顔を埋めた。そしてピクリとも動かなくなった。
「――――お願い……何処かに行って……一人にしてアル」
儚く、震えた神楽の声は、やっとで沖田に届く。
沖田は神楽を見下ろした。
「嫌でさァ。俺はここから離れるつもりは無え」
力強い沖田の声が神楽を威圧するかの様に響いた。そのまま神楽は、うんともすんとも言わなくなった。ただひたすら顔を膝に埋めていた。
時折、体が跳ねた。突然襲ってくる酷く強い快楽から、逃げられないとでも言う様に……。神楽の全身には、鳥肌が立っていた。皮膚には冷や汗が浮かび上がる。
沖田は下唇を噛んだ。
(一体、俺は何してんでィ……こんな所でこいつが苦しむ様をただボー然と見下ろすために来たってぇのかィ)

沖田が神楽に一歩近づく。その距離は沖田が屈めば、すぐに神楽に触れられる距離。それを感じた神楽は身をきゅっと縮めた。
ゆっくりと沖田は屈む。腕の中から漏れる神楽の湿った息が、ダイレクトに沖田に伝わった。沖田はそっと神楽に触れようとした。
「止めて――っ。沖田お願い……私……わたし……」
神楽の声が涙で濡れていた。
「――――沖田に嫌われたくない――――っ」
心臓の音が壊れた思いがした沖田は、有無を言わずそのまま神楽の顔をあげた。そして乱暴に唇へと噛み付いた。
「おき……っぅ――――っ」
神楽のしなやかな体を、沖田は乱暴に押し倒した。神楽の制服ごしに、冷たく湿った雑草が感じられた。それを感じながら、神楽は言いようのない快感に襲われる。
必死で神楽は沖田を拒んだ。しかし暴れるたび、その体を拒むたび、その行為にさえ快感は纏わりつく。沖田は神楽の細い手首をたやすく両手で掴むと、頭の横に縫い付けた。その合間も、神楽の唇を貪る行為は止まない。
沖田は理性を吹っ飛ばしたのか、神楽の唇には、時折痛みが走った。それは沖田の歯が乱暴に神楽の皮膚に当たり、傷をつけていたからだった。必死で神楽は貪られる沖田の唇から逃げ叫ぶ。
「沖田ぁ――っ! やめっ、やめ――――――――」
神楽の声も虚しく、沖田は神楽の制服の中へと、無遠慮な手を侵入させた。
驚いた神楽は必死に抵抗の言葉を、しかしそれもすぐに沖田に塞がれた。暴れれば酸素が食われる。神楽の胸は大きく上下した。すると沖田はゆっくりと唇を解放させた。神楽の顔を上から見下ろす。その距離は10cmもなかった。
「俺がオメーを犯してんでィ。オメーはこれっぽっちも悪くねェ。だから好きなだけ感じてろ。いくら乱れたって俺はオメーに幻滅なんかしねえ。嫌いになったりするわけねえ!!」
そう言うと、沖田は再び愛撫を再開させた。

沖田は神楽の触れたことない胸の突起を、弾いた。
得も知れぬ快感に打ち震える神楽を見下ろしながら、沖田は必死に自分の理性と戦っていた。胸の上まで託しあげた神楽の胸は、昼間の太陽に晒され、ピンと主張している。思わず沖田は本来の目的も何も、根本からぐらりとくずれさりそうになった。

しかし頭を振り理性を持ち直すと、その柔らかい膨らみを両手で掴み、もみしだいた。
「……ふっ……ぅぅ――――」
声を押し殺そうとすればするほど、その小さな口から、なまめかしい音が漏れる。それは沖田の理性を、尚も激しくゆさぶった。
沖田は紳士でも何でもない。ただの高校生だった。その沖田が惚れた女のあられもない姿を目の当たりにし、そして触れている現実は、そうとう過酷なものだった。それでも沖田は自身の欲に溺れまいと必死だった。
胸の突起は、沖田に触れて欲しいと主張する。その先端に沖田が触れると、神楽が一際大きく鳴いた。しかし羞恥心もあるのだろう。その塞がれた瞼からは、先ほどからずっと涙が伝っている。沖田はそれを親指の腹で拭った。
「気持ちいいか?」
神楽は両手で顔を隠した。そして声に出し泣き出した。沖田は神楽の頬に触れながら、もう一度聞いた。
「オメーに触れてんのは、オメーを苦しめ続けたあいつらじゃねえ。オメーに惚れてる俺が触ってんでィ。その俺が聞いてんでェ。惚れた女を悦ばせてえと思うのは当然だろィ?!」
神楽は両手の向こうで、ぐずぐずと鼻を鳴らしている。
「――――俺は……嬉しいと思ってまさァ」
神楽が息を吸い込んだまま、止めたのが隠していても分かった。
「どんな形であれ、今オメーを悦ばせているのは、俺でさァ。俺はその役目をこの先も誰にも譲るつもりは無ぇ。だから、今お前が恥ずかしくて泣いていても、俺は嬉しくてたまらねぇ」
神楽の充血しきった瞳が指の隙間から見えた。沖田はそのまま神楽に体を密着させた。
「厭らしいのはオメーだけじゃねえ。惚れた女が全身で誘ってきてんでェ。俺だって格好悪い程、反応してんでィ」
制服越しに触れる感触は、神楽が触れた事のない感触。
口を開いたまま、言葉を失っている神楽を見下ろすと、もう一度神楽の唇に軽く重ねた。そしてそのまま首筋に甘く噛み付いた。襲ってきた快感に溺れる間もなく、神楽は再び羞恥の渦へと突き落とされる。
「沖田――っ……嘘ぉ……」
沖田は神楽の胸の突起に舌を絡めた。陽の光は沖田の唾液を艶かしく照らす。力なく神楽は沖田の頭を押してみたが、そんな力で沖田が退くはずもない。
小さな突起を、少し強めに吸ってみると、沖田のまだ若い理性がくらくらとした。柔らかく突起の周りを舐めたかと思えば、舌で弾くように、口内で上下させる。
「……んっ……んぅ……ぁあ――――――――っ」
両手で塞ぐ口の合間から、神楽の卑猥な声が響く。沖田は一段と自身の体が反応してきたのを感じた。そのまま沖田は神楽のくびれへとおりた。すると当然スカートに引っかかる。想定内とばかりに沖田は神楽のスカートをめくりあげた。
「ひゃぁっ!! お、沖田ぁっ、ちょ、ちょっと待つ――――ひゃっ!!」
晒されたのは、まだ一度だって見た事も触れた事もなかった神楽の下着。淡い水色のお揃いの下着を、沖田は上から辿る。
「ひィっ……沖田っ……沖田っぁ――――」
懇願する神楽の声は、当に火がついた沖田の体を、更に熱くさせた。自身のものが熱く、痛い程に張っているのが分かった。せめてと、沖田は制服越しに神楽へと擦りつける。たったそれだけだが、快感は沖田をも襲う。このまま神楽の意思など無視して、そのまま理性を粉々にしたい衝動に駆られる。しかし沖田は最後の理性を振り絞った。神楽の割れ目に下着越しだが指を埋もれさすと、中から厭らしい音が何度だって漏れた。


恥ずかしい……
死んじゃいたいアル――――。



欲しくないのに快感が自分を襲い苦しめる。心ではやめてと言っているのに体が欲しがる。
神楽の顔は、もう鼻水と涙で見せられなかった。だから顔を隠していた。これ以上、沖田に醜態を晒したくないと。

沖田が何度も割れ目を擦ると、意図せず神楽の声はどんどんと大きくなっていった。
波が近いと踏んだ沖田は、自身の手の動きを早くさせた。甲高い神楽の声と共に、大きく神楽の体はしなる。刹那、神楽の体は、大きく痙攣した。必死に声を押し殺しているのか、隠された両手の中で濃い息が上がっている。思わず沖田は目を伏せた。これ以上神楽の姿を直視できそうにもなかったのが理由だった。あられもない神楽の姿を見て、自分が堪えきれなくなるのが恐かった。

気が付くと、沖田の背はぐっしょりと濡れていた。
相当な精神力でなければ、堪える事が出来なかった。それは神楽の事を思う気持ちに強く比例している。

快楽の余韻にまだ微弱だが震える神楽の体に、沖田がそっと触れると、神楽の体は小さく跳ねた。大丈夫だといい聞かせるように沖田の手は、ゆっくりと神楽をさすった。
いっきにシンとした空気の中、ゆっくりと神楽が顔から両手を退けると、風があっと言う間に熱をさらっていってしまった。掌で涙を拭う。

重い空気の中、神楽は口を開こうとしたけれど、こんな醜態を晒しておきながら、今更出る言葉など、ひとつだって思い浮かばなかった。横たわりながら、神楽は自分の乱れた制服を、沖田と目を合わせないようにしながら静かに直す。






「後悔なんざしてやせんぜ」





静かに放たれた沖田の言葉に、神楽は手を止めた。心臓の音が高くなる。生唾を飲み込む音が、異様に大きく感じられた。

「ただ……次は……もっと優しくしてやりてえと思ってまさァ」


次――――。
当然の様に男は二人の未来に次があると言う。
―――――嬉しすぎた。
盛り上がった涙に景色がゆがみながらも、神楽は沖田の方に視線を移す。そこには、あのいつもの沖田が、憎らしく笑っていた。
「俺も一緒にな」


恥ずかしくて死んでしまいたい。そう思ってた神楽は、今、自分でも驚くぐらいに素直に頷いた。
これには沖田も驚いたようで、気恥ずかしそうにうなじを掻いた。
あれほどの快楽に溺れそうだった自分だが、沖田の手によって、不思議なほど、楽になっていた。その思いは、神楽の闇の中に、温かい光の様なものを落としていってくれた気がした。




_……To Be Continued…
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