act 25


「オイ。」
男女が如何わしい行為をする、その部屋。そのベットで男は女の背に声をかけた。もうコレで三度目になる呼びかけに、一向に女は応えようとはしない。男は、長いため息を女の素肌に吐き捨て、もう一度名を呼んだ。

「神楽。いい加減こっちを向いたらどうなんでィ。」

刹那、背中の向こう側から、返事の変わりに、鼻をすする音が聞こえてきた。男は、更に大きなため息を出し、額を覆った。

「だから大丈夫かって聞いたじゃねェか。」
「――だって…。だって…。ぐすっ――。」
「とりあえずだな…。まずは、こっちを向け…。」
「――うごげないんだぼん…。」

沖田は項を掻くと、神楽の柔らかい髪に指を通した。
「悪かった。もうちっと加減すれば良かったんだが…。けど、おめェも続けろって言うからだな…。」

言い訳がましい台詞を吐いちまったと沖田は、反省し、もう一度、すまなかったと付け加えた。

甘い雰囲気に酔わされ、神楽は沖田を受け入れた…。が、その痛みは尋常じゃなかった。私は夜兎アル…。

何度も自分に言い聞かしたが、外側から傷付けられる痛みとはまた違った痛みであり、痛みの種類が違った。
どこかの本で、初体験特集というものがあり、読んで勉強した事もある。死ぬかと思った。
痛かったけど、好きだから我慢できた。甘酸っぱい痛みだった。読んで本当にどんなもんなんだろうと興味もあった。

そして何より好きだった。好きなら我慢が出来る?
出来るかボケェ!大声で叫びたかった。

こんなの不公平ヨ。なんで女ばかりこんな目にあわなきゃいけないのヨ!気持ちが爆発しそうだった。それでも我慢できた。頑張った。

「全部入ったアルか?」
涙目で聞いた台詞。沖田はその涙をペロリと舐め、頬に手を沿え、唇に甘い蜜を、そしてトゲのあるバラを…。

「悪りィ。まだ半分しか入ってねェ…。」

――逃げたかった。敵に背を向けないプライドを持っている自分だが、とりあえず逃げたかった。
その半分だけ自分に貫通している物体を引っこ抜き、目の前の男をふっとばし、どこか遠いところに逃げたかった。それが顔に出ていたのか、沖田は神楽にやめるかと聞いた。うん!即効で言いたかった。しかし沖田の言葉とは裏腹、その表情は、明らかにもう続行を望んでいた。


 何でこんなに自分ばかり…。思ってはみるが、最愛の男が自分だけにする表情。自分だけがこんな表情をさせてあげる事が出来る。

沖田の表情は色っぽく、思わず神楽に、もうちょっと頑張ってみようかと思い起こさせた。
しかしやっぱり痛かった。

全部入ったと聞いた時には、ヒャッホーっと叫びそうになった。しかし此処から動くなんて想像を絶していた。

こすれるたびに激痛が襲う。沖田の背中にコレでもかと爪跡を残した。泣き叫びたかった。

どんどんとスピードが増してくと、気を失いそうになった。
別の意味で昇天。イきそうになっていた。

沖田が果て、自分の中にゴム越しに残された跡。そしてシーツの上の鮮血に思わず言葉を失い、沖田に背をむけ、何とか我慢していたが、それも限界、神楽は子供の様に泣き出してしまったのだった…。


……To Be Continued…

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