act 9

『どうだった?!』
重なった声。一つ一つの声が重なり、声は思わず大きくなった。朝の喫茶店の一角、そのテーブルを思わず客が見る。殆ど同時に、シー!と人差し指を立てる。くすくすと笑い、改めて、そう話を戻した。
「で、どうだった?」
お妙は、神楽に聞いた。神楽は、うん。そう頷いて、昨夜の晩の事を思い出し、頬を赤くした。昨夜の晩の出来事。この話題についても、後から十分追求をしたいものだが、その話は今はまず置いといて…。
続いてお妙はミツバに、その気になる話題をふった。言葉を発する前からミツバは顔を真っ赤にした。神楽同様、昨晩の出来事を思い出した様だった。あまりに恥ずかしかったのか、両手でその火照った顔を覆い、答えられないと言うように首を振った。恐らく上手くいったのだろう。しかし、この内気なミツバが、どの様に例のモノを使うように仕向けたのか、大いに気になった。しかしそれはまだ、我慢だと自分自身に言い聞かせ、神楽とお妙は食い入るようにまた子へと質問の矛先を移した。

「バッチシッスよ。」
あっけらかんと、また子は言った。「あ、そう。」拍子抜けした様に二人は返事したが、何だか面白くない。もっと、こう、ミツバの様に恥らいを見せ、其処をつつくのが楽しいんじゃないかと視線を交わした。
「ね、何処でシたアルか?」
神楽の質問に、さすがにまた子は「ぇえ?」とひいた。言いたくないとの、また子の言葉を聞いたお妙と神楽は、これでなくちゃ面白くないとでも言うように、朝の喫茶店で質問攻めを始めた。
「ね、何処でしたの?またちゃん家?」
「高杉の家アルか?ねェ。教えてヨ。」
「く…。」
『く?』
「車の中ッス…。」
「ぇえええ!」
喫茶店の中に、声が反響した。ミツバもさすがに驚いていた様で、神楽はお妙と一緒に声をあげた。すぐに口を覆ったが、その時には既に声は反響して、その空間に溶けた後だった。皆ゴクンと喉を鳴らし、もう一度また子の方に身を乗り出した。
「く、車?」
お妙の言葉に、また子は、コクンと俯いた。
「伸介が、炉端に車を止めて、そのまま…。」
唖然。本当に唖然だった。なんてこったい。思わず皆思った。何て男だ高杉伸介…。思わず崇めた。また子は「もう言わないッスよ!」そう頬を染め、口にストローをつけ、カルピスを含んだ。

また子は話題を切り替える為に、お妙にどうだったのかと聞いた。はっと意識を取り戻したお妙は、「私は付けてないもの。」そう笑った。
また子はぶふっとカルピスを拭いた。口を潤わそうと神楽とミツバもストローに口を付けたところであり、同じように、吹き、ストローの中に空気が勢いよく吹きかけられ、カルピスはゴポゴポを音を鳴らした。
「ななな。それ、本当アルカ?姉御。」
「あら、だってあたしは欲しいって言われてるんだもの。隠す必要なんてないでしょ。そう思ったら付けなくてもいいんじゃないかって思えて、近藤さんにも言ったら、泣いて喜んでたわよ。」
唖然となった神楽達だったが、すぐに、『いいなァ。』と声を揃えた。
お妙はふふっと微笑んだ。
「ミツバちゃんは、土方さん家に行ったのかしら?」
さらりとお妙はミツバに向けた。
ミツバは急にふられた事で少々パニックになっている様だった。此処で、鬼畜トリオが覚醒する。からかいがいのあるミツバに、一気に質問が集中する。
「もしかしてミツバ姉が誘ったアルカ?」
「土方さんが強引に奪ったんでしょ?」
「流れでそのままって感じっスか?」
三人に質問攻めにされ、ミツバはたじたじになる。
「あ、あたしのアパートに送ってくれて…。ご飯食べた後に、泊まってっていいかって言われて…。夜…。も、もう言えないィ。」
むふふと三人は笑う。そして容赦なく突っ込んだ。
「ねェ、ねェ。トッシーって激しいアルカ?それとも優しいアルカ?」
「絶対征服するタイプっスよ!」
「あら、もしかしたら、ミツバちゃんの体を気遣って、すっごく優しい抱き方を――。」

もはや、当事者のミツバの事など完全に無視をして話は盛り上がった。

昨晩から、朝の余韻。男がそれぞれ仕事に出かけるまでの甘いひとときの話題は尽きる事を知らない。ミツバのもう止めてとの泣きそうな面を見ると、やっと気が済んだように三人は落ち着いたのだった。





……To Be Continued…

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