番外編 4

春の暖かい日差し、相変わらず風船はゆらゆらと揺れている
庭に並べられた小さな花は今日と言う日を祝福していてくれている
テーブルの上に並べらていた料理はもうあまりは無いけれど、周りの人間の顔が幸せそうなのでよしとする。
その庭の真ん中で、白いシャツにグレーのネクタイを合わし、ラフに黒のタキシードを着こなす土方と、同じ白のシャツに灰色のネクタイと、同じように黒のタキシードを着こなす総悟。そしてその横にはそれぞれミツバと神楽が立っている。

近藤は、咳払いをし、今度こそその言葉をかける
「神楽さん、土方ミツバどの。その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

すると神楽は、身を乗り出してちらりとミツバを見る。するとミツバは笑い、いっせーのと声を出す

「「新郎が誓うなら誓います!!」」

会場は一気に沸く。
ふふんと神楽は総悟を見る
ミツバは土方を見る。すると土方は額に手をやり壮大にため息をついた

近藤は、息を吸い込み、もう一度くちを開く

「土方十四朗、沖田総悟。その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

ドキドキと沈黙が流れる中、新八、お妙、銀時、近藤、隊士、そして神楽、ミツバが見守る中、口を開く

「「ちかいます…」」

もう何だ…勝手にしてくれ…そう言う声だったが、誓ったことには変わりなく…
さらに皆は沸く。

そしてもう一度近藤が神楽とミツバに聞くと、ひまわりの様な笑顔で『誓います!!』と答えた
庭の中には、笑顔が溢れ、数々の祝福の声が飛んだ。
そして、指輪の交換は吹っ飛ばして、近藤は、「では、誓いのキスを…」と口を開いた

互いに向かい合う。再びノ難関に土方は額から汗を流す。
総悟もだろ?なんて後ろを振り返ると、総悟は神楽にじりじりと詰め寄っている時だった
神楽は言う
「ち、誓いのキスアル、ちゅってすればいいアルヨ…そ、総悟…目が据わってるアル…ね、ねェ…」
すると総悟は不気味ににっこりと笑う

「いや、どうせなら濃厚でいこうや。何なら誓いの言葉もういっぺん言ってやろうか?
オメーに近づいた奴はぶっ殺す。オメーに触れた奴を火あぶりにすらァ。
オメーと言葉を交した奴を串刺しの刑に処する。オメーにキスした奴ァ、打ち首獄門の刑に処する…。」

「総悟!おま、それ誓ってないアル。脅迫アル、宣戦布告ネ。ロマンチックじゃないアル〜〜」
じりじりと寄るその厚い胸板を押すがびくともしない

「簡単にキスなんざされやがって…覚悟しやがれ…」
だからそれ誓いの言葉とは天と地程の差が…なんて思って時には既に唇は塞がれていた
それを見た土方は唖然としていた。

そこにミツバの手が伸びてき、むりやりミツバの方へと向かされる。
「誓いのキスは?」
恥じらいながら上を見上げるその顔に、もう何もかもよくなり土方はその柔らかい唇に吸い付いた

恥じらいは何処に行った?
そう思えるほどに、二組のキスは濃厚で、そして終わらない。
ミツバと土方は、お互いを愛しく、まるでその甘いキスに酔ってるように思いを繋ぐ
神楽と総悟は、まるで総悟が侵食するような荒い口付けだったが、やがてその首に細く白い手が回されると、その荒さはたちまち甘く甘くと変わって言った…。

「きしゅ、きしゅ、マミーとパピーきしゅしてるヨ」
「ちゅ〜してるよ、母さまと、父さまがちゅ〜してるよ」
新八と山崎の服をきゃっきゃと引っ張る。

間も無く、神楽とミツバは互いに愛しい宝物を抱きに来る
新八にせっかくのドレスが…そういわれるが、この際いいアル!と神楽は微笑む。


「パピー?マミーの事しゅき?」
きらきらの目をぱちくりとさす。
「あぁ…とってもな。」
「みおちゃとどっちがしゅき?みおちゃ?」
総悟は笑う
「あぁ、みおが一番でさァ。みおが一番スキ。…マミーの事は一番、愛してるんでさァ」
そう、総悟が言うと神楽は微笑んだ



不意に神楽がまじめな顔をしながら口を開く

「総梧…もしホントに私の運命の相手がお前じゃなかったとしても、奪いに来るアルカ?」
「あぁ、必ず奪いに行ってやらァ。でも案外繋がってると思いやすぜ?運命の鎖で…」
「え〜!鎖なんて嫌アル、どうせなら、赤い糸がいいアル。」
「アホか、てめーわ!糸何かじゃすぐにぶちぶちに引きちぎってまうだろうが。」
「むぅぅ…そんな事…ないアル。」

「きっと俺はこの先も、もしかしたら前世でもお前と居たのかもなァ。そして…来世でも、お前と一緒に居たいと思ってる。」

「来世?来世はきっと素敵な男を捕まえてやるネ。お前なんかお断りアル」
「オメー本当に馬鹿でさァ。言ってンだろィ?俺とお前は繋がってんでェ。運命の鎖でな」

「ったく、もっとロマンチックに言えないもんアルカ?ふふ…でもお前と一緒なら…繋がっていられるなら、紐だろうが糸だろうが鎖だろうが…本当は嬉しいアル。」
はにかんだ様に神楽は笑う。それにつられた様に総梧もはにかんだ様に笑った…

総梧は、ゆっくりと神楽の細い手を取った。それに気づいた神楽は微笑みながらその手をそっと絡めた…







........

「あっ…」
「どうしたんでさァ、チャイナ。学校に遅刻しやすぜ。」
「何かずっと昔…遠い遠い日に、こんな風に手を繋いでいた記憶が浮かんできたネ。」
「マジでか?一体ェどんな記憶なんでェ」
「何か私がウエディングドレス着てて、沖田はタキシード着てたアル。そんで私そっくりの赤ちゃんが居た記憶…」
「すっげ〜な、デジャブっつーやつかィ?ってか何?俺とお前と結婚とかしちゃってんのかよ…」
「うぉぉぉぉ!!今気づいたアル。めっさ恥ずかしいアル。てか何でお前と結婚?ありえないネ。」
「彼氏に向かってその言い草はなんでィ。それもしかしたら前世の記憶ってやつじゃないですかィ?」
「マジでか?てかそんな訳ねェだろうが。馬鹿も休み休み言うアル。」 







「馬鹿はお前だろが。言っただろィ?繋がってんでさァ。俺たちは…運命の鎖で――――。」

FIN



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