act 25

分かってたもん・・別に隠してるわけでもないし
浮気でもない
一番初めに会った時から、知ってた。知ってて惹かれた
知ってたから、危険って自分で近づかないようにした

知ってて、スキになったんだ

キッチンの前で、立ち尽くす、後ろの方では、パラパラと本をめくる音
とっくに読み終わってるなんて気付いてる

一人で居たくなかった
誰かにいて欲しかった。泣いちゃいそうで・・泣きたくなくて
ご飯一緒に食べようって、銀ちゃん呼んだ

ぐつぐつと、おなべは沸いてる

「・・ぐら・・かぐら・・」

八ッとなる。考え事をしてて、ついぼーと突っ立ってる自分
ごめんと、苦笑いしながら、切り終えた材料を、とくに考えもしずに、鍋に入れた
大小の野菜。鍋にはぐらぐらの熱湯、自分はトコトン熱湯に縁があると思う
当然の如く、神楽にバシャリと飛び散った
そして、この何日かの間で、何度目かの声を上げる

「熱っ!!あっつー!!」

「ばっ!!早く冷やせ」
ソファから飛び起きる銀八、冷水を勢いよく出し、神楽の手を浴びせ続ける

不意にフラッシュバックした頭の中の映像・・
思いはこぼれた・・・

「っ・・・ふぇ・・ぎ・・銀ちゃんじゃドキドキしないァルぅぅぅぅ!!!ふぇぇぇぇ」
冷水に固定された右手
左手で、一生懸命に声を隠す
それでも、こぼれる声
「あのなぁ、お前にドキドキされたら、銀さん倒れちまわぁ」

呆れたように、神楽の頭を、よしよしと撫でる

こんなにドキドキするのは、アイツだけ
あんな事聞いたのに、嫌で仕方ないのに、辛くて、悲しくてたまらないのに
こんなにも会いたいと思う自分がいる
会いたくて、会いたくてたまらない自分がいる

こんなにも、いつ好きになったんだろう?
だから嫌だったのに。だから離れようとしたのに・・
惹かれるって、離れられなくなるのが分かってたから、逃げようとした

でも、もぅ遅い
気付いたこの気持ち、苦しくて、切なくて、自分だけじゃないって分かっても
それでもこんなに・・恋しい

堰をきった涙は、とめどなく溢れる

すっかり自分の中に入ってた自分
だからこそ、気付かなかった。

「何してんの?」

自分が鍵を閉め忘れたこと
もぅすぐ帰ってくると言う事
自分が火傷してたという事

銀ちゃんが、丁度私に覆いかぶさってる体制になってること

あいつの姿と声、一気に涙が止まった



……To Be Continued…

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