act 36

「神楽ちゃん! もっと、ちゃんとしっかり引くッス!」
「分かってるアル! 言われなくてもっ!」

ガチャガチャガチャッ ! ガチャガチャガチャッ !

錆びれたドアノブを、神楽とまた子は、二人して、掌を重ね、ひっしに内側から握りしめる。
その力に負けて、木が軋み、もうすぐ、そこが、壊れてしまいそうだ。
でも向こう側から、その倍の力を持って引かれるのが分かる。
鍵の能力は、とっくの昔に切れていて、意味はなさなくなっている。
だから神楽達は二人して、力を最大限に合わせ、引かれないように、扉を開けられない様にと、握りしめていた。



ドドドドン ! ドドドドン !
神楽とまた子の心臓を、わし掴みする様な音が、ドアの向こう側から響いた。

「ぜ、ぜったい……離しちゃ駄目ッスよっ!」
握り締めている手元が、汗ばんで、ぬるぬると滑る。それを何度も何度も持ち替えては、必死に握り締めた。

また子の言葉に、神楽は、大きく頷いた。
「わ、分かってるアル……っ」

でも、そんな神楽とまた子の力を二つ合わせても、向こう側から引かれる力には、到底かないそうもなかった。
だって、あの時だって、全然、全然敵わなかったんだから。

神楽は、何ひとつだっていっていない。だけどまた子には全てが分かった。

ほんのついさっき、神楽が説明する間もないまま、二人して、彼らの隙間をぬって二階に逃げ込んだ。
神楽の腕を強く引っ張って、守る為に、二人して、階段を駆け上った。

カンカンカンカンッ、カンカンカンカンッ……。

駆け上った後、部屋に逃げ込んで、鍵をかけようとしたけれど、壊れているのに気づいて、必死に二人で握り締めた。


真っ暗で、部屋の中がどんなのかもさえ分からない。

だから、ここが、安心できない場所だって、彼女達は気づかなかった。


降りてきた彼らが、全員じゃなくて、まだいるんだって事が…… 。

・・・・To Be Continued・・・・・
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