act 33

「沖田さん、この雷、ちょっとヤバくありません?」
叩きつける雨に全身を、ずぶ濡れにされてしまったお妙は、走り続ける沖田に、そう声をかけた。

お妙がそう言うのも、納得ができる。
頭上から、光るその雷は、今にも自分達へと落ちてきそうだったのだから。

しかし、沖田がその足を止める事はなかった。
自分達に雷が落ちそうだと言うのなら、それは神楽にも言える事だと。

けれど、その轟音は、さっきから増すばかりである。

ピカっと光るその音に、たまらずお妙とミツバは、キャッと声をあげた。
それを見た沖田は、ゆっくりと足を止める。

バチバチと、その雨は、頭に叩きつけてくる。服も、カバンも、びしょ濡れになってしまった。

けれど、今更、引き返すことなんてできるはずもない。
お妙達の、びしょ濡れになった姿が沖田の瞼に映る。






「分かりやした。どこかで雨宿りしやしょう」

神楽の事が心配なのは、沖田だけではない。お妙だって、ミツバだって、皆心配している。
でも、この頭上から鳴り響く轟音は、お妙達に、何か、危険な信号を送っていた。

「ここを、もう少し行った所、そこに確か古いアパートがあったと思うの」

お妙の記憶に、沖田は頷いた。

だからそこまで行きましょう。そう皆で雨足がつよくなる中、地を蹴った。










キュッ――――――。


足元から聞こえた、自分達の靴の音に、神楽達は、口を塞いだ。

聞こえた……だろうか?




二つの眼は、ただただ前にと向けられている。
神楽はまだ、震えたままだ。
(あいつ……あいつは……っ)


神楽とまた子の視線の先に居る人物、そして神楽を交互に見る。
一体どうしたと言うのだろう。また子には、神楽がこうなっている理由が見当たらない。
ただ、声を出しちゃいけない状況なのは分かる。

だから、静かに喉だけ鳴らした。

静かにさえしていれば、そこからここは、分からない。
じっと、また子は声を飲んだ。

ここは暗闇も同じ……だから――――――。



ヒッと神楽とまた子の喉がなった。
切れ長で細い視線が、まるでここが分かっているかの様に、こちら側へと向いたのだった。





・・・・To Be Continued・・・・・

← →


作品TOPに戻る






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -