act 7

厚いビン底眼鏡がカシャンと音を立ててコンクリートの上を転がった。
激しく抵抗する神楽の頬を男が二、三発立て続けに張った為だった。まず右に一発。
男のイライラと支配欲の塊をぶつけられた神楽の頬は簡単に揺さぶられ眼鏡が吹っ飛んだ。それでも恐怖で神経が切れている神楽は、感情の赴くままに暴れ続けたので、反対側から更になぐられた事で、ようやく大人しく震えるだけに治まった。

「お前、あのクソダセー眼鏡外したら、驚くくれー綺麗じゃねーかよ。こりゃ楽しみになってきたぜっ、と――。」

言いながら神楽の服を一番上のボタンからそのまま引っ張り裂いた。神楽の表情が一気に強張った。真っ白なブラが裂かれた制服の間から、ちらりちらりと姿を見せ、そのチラ見せが更に男の感情を奮わせた。
しかし声を出す事が出来ない。

今頃になって神楽の唇からツーと血が滴りそれが口内へと入り鉄の味がした。馬乗りになっている男のほかに、神楽の両方を囲う様に男は何人もいるが、中でも両サイドに居て、腕を押さえつけてきた男は神楽の体を堪らなそうな面持ちで舐めまわす様に見下ろした。

ゾクリと神楽は寒気がしたのは言うまでも無かったが、一発目の平手うちが、思ったよりずっと深く神楽の心に恐怖心を植えつけてしまった様で、神楽は体をガタガタと震わしながら、ただただ泣いていた。

馬乗りになった男はそのまま落ち神楽の首筋に噛み付いた。神楽は下唇をこれでもかとぐっと噛むと簡単に唇は切れ、その血はツーと下へと、そして更に口内が鉄の味で侵食された。そんな事を気にする男では当然なく、鎖骨へと下りてくると、その表面がざらざらとした掌を神楽の肌へと滑らせた。

下着の中に当たり前の様に滑りこまされたその手は、当然の様に神楽の小ぶりな乳房を弄んだ。ぐいっとブラを上にあげると弾力のある乳房が男達の前に露になり、男達の低く唸るような声が神楽の耳へと届いた。
いっそ狂ってしまえたら楽なのにと神楽は壊れかけの極限状態の精神で切実に願ったが、最後の一本が粘り強く理性を保っていたため、余計にその恐怖、辛さ、苦しさが増した。

まだ沖田さえも触らせてないその乳房を遠慮なく刺激される、下からぐっと持ち上げるように掴まれたかと思うとてっぺんにある突起をグニグニと刺激された。其処にあるのは、愛撫と到底呼べるようなものではなく、ただの苦痛な拷問だった。
それと同時に男は太股へと反対側から手を滑らせた。

「沖田っッ。おきたァ…助けてェ――。」
搾り出す様に神楽が言うと、男は全ての愛撫をやめ、神楽をにらみ付けた。
「次、口を開いたら姦すどころか殺すゾ…。」
ヒっと神楽は震え、男の言葉に何度も何度も頷いた。
冷や汗でじっとりと額が汗ばんだ。流れる汗はまったく温度を発してなく、今の神楽そのものの様に冷えきっていた。

しばらく揺れる神楽の瞳を見ていたが、すぐにその悲痛な愛撫を男は再開させる。
太股の外側を撫でまわしたかと思うと一気に内股へと滑りこませた。とっさに神楽は両足に力を入れ股を閉じた。口を開く事を許されない神楽の精一杯の拒絶、しかし男がソレを許すはずも無くピタリとその手を止めると神楽を再び上から見下ろした。
何を言う事なくその圧に押され、神楽の足は力を失った様にダランと崩れた。

にやりと笑ったかと思うと、男は内股に滑り込ませ、下着の上から其処をツツーとなぞった。
「っふぅっ〜っ…ッ…。」
名前も呼ばない。助けを呼ぶ事も許されない事を余技された神楽は必死に声を押し殺して泣いた。

おびただしい涙は目の周りをとうに赤く腫れあげさせ、頬をぐしゃぐしゃに濡らした。視界が潤んで何をされてるのか、見る事もできなくて、そして知りたくもなく、けれど逃げる事もできずに必死に声を殺した。

そんな鳴き声を無視し、男は神楽の乳房にかぶりついた。体がショックで大きく跳ねた。
右に、左にと交互に舐めあげ、その突起に強く噛み付いたと思えば吸いついた。
いっそ心をなくして欲しい―――。
いっそ私をなくして欲しい―――。

本気でそう思った。ただ一本の正気の糸をぎりぎりと引きちぎる音が神楽の耳に聞こえだした。
そう、いっそ壊れたい…。そう思った神楽の下着に男の手がかかり、下へとずりおろされた。
っプッ――――。

切れたと思った音が聞こえたのと、その解体屋の奥の入り口から、誰かがこっちへ来ると大きな男の声が聞こえた。自分の真上で聞こえた鋭い舌うちの音。なぜか現実へともどされたその神楽をそのままに、男は「またな。」と言い残して、覆っていた暑苦しい温度を散り散りにちりばめながら、冷たい空気を神楽の体に晒し去っていった。

残されたのはボー然としている神楽の体と心。
誰かが来る。

そうは思ってみるは、全く体が動かない。足が動かなかった。
上から裂かれたセーラー服の下に覗く姿は今しがた弄ばれた自分の乳房。真っ白なブラは紐の所が伸びきっており、元どうりにはなりそうもなく、そのまま上にたくしあげられている。沖田の為だけにと大事にとっておいたこぶりの形のいい乳房が秋風に晒され、噛まれた乳房のてっぺんがひりひりと痛んだ。

すらりと流れる足の膝の位置には、そこまでずらされた下着がそのままある。
死んだ様に動けない自分の体を他人事の様にその場所に置いたまま神楽は錆付いた天井を見上げた…。

足音が聞こえた。
が、しかし神楽の心は反応しなかった。
まるで壊れ捨てられた人形の様に、そのままの【形】で在り続けた。
その足音は、残酷にも、そんな少女の鞄を入り口で見つけてしまう。たった今まで笑いながら、馬鹿な事を言いあい雑談していたその足を止め、顔を見合わせた。なぜ此処に、この鞄が…。思った後、その奥の暗い空間に目を凝らした。しかし暗く光もよく届いていなく、見えない。人が立っている風もない。

しかし此処に彼女の鞄が落ちているのは確かであって、そして不自然でもあって…。
その中の一人が中へと足を進めたが、それを別の人間が止め、自分がと足を踏み入れた。

まさかこの時間に幽霊が居るわけでもないし、まさかドラマの様に殺人現場に遭遇するなどと言う発想を持っている訳でもなかった。ただ、この暗さと、湿った空気、体にまとわりつく嫌な何かを感じたのはその場にいる全員だったので、ならば男である自分が行こうと其処まで深く考えずにその空間へと足を踏み入れた。

明るい陽の場所から暗がりに入ると一瞬目が眩んだが、その切れ長の瞳を持つ男は手を顔の前に無意識にかざし、まもなくはっきりしていく視界の片隅に浮かんだ、天井からの僅かな光の中に浮かぶ少女の姿を見つけ、雄叫びをあげた――――。

……To Be Continued…

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