act 9

[ヤメ・・・沖タ・・・」

何を言っても沖田には届かない、体をもがき、動けば動くほど、自分の手をはり付ける手は強さを増すばかり
体が悲鳴をあげる、声が届かない、強張る表情
沖田は、神楽の目を一切見ようとはしない、まるで何かに取り付かれるようだ

唇から離した舌を首筋に落とし、右から左からと攻める
ゾクゾクと込み上げる官能と言うモノ。それは、自分の意思とは全く関係なく溢れてくる
どうやっても、嫌いにはなれない、体は正直だった

沖田の手は、素早くドレスの後ろ手にあるファスナーを下ろし、ドレスを下げる
露になったブラの上から両手で揉みあげる

「嫌ぁ・・沖田・・ヤメテヨ・・」
沖田は、神楽の上に乗っている。神楽は体をよじらせ抵抗を見せた
沖田の手を、自分の胸の上から、何度も何度も退かせる、その度、少しイラついた様な、怒ってるように、神楽の胸に手を忍ばせた。
あまりの沖田の表情にたまらなくなる神楽は、体をよじらせ、沖田から身を守るように小さくなり、震える体で嗚咽を漏らし始めた

「っ・・・ふぇ・・・ヒック・・」
手はカタカタと震え、小さな肩は、小刻みに動く。髪は乱れ、神楽の顔にバラバラと落ち、ずっと触りたかった柔らかく、スベスベの頬には、静かに涙が伝う。
流れても流れても又伝う涙。その涙を見た沖田は、やっと気付いたように、神楽の体から、自分の体を退かせた
自分の所為で、小さく震え泣く神楽

こんな事したかったわけじぇない
こんな顔見たかった訳じゃない
本当はもっと・・・・・・
まだ、心臓はドクドクと余韻の音を鳴らす。しかし、大分冷静になれた感情。思わず震える神楽に手をかける
小さくビクッと震えた体。
もう恐がらせないと、静かに、肩に手を沿え、ゆっくり撫でた

「悪るかったでさぁ・・・」

神楽は、沖田の声に反応する。まだ沖田の目を見ようとしないが、ゆっくり俯いたままコクリと頷いた
少しずつ、震えがおさまる神楽の体、そのまま沈黙が流れる

「俺の事嫌いですかィ」
突如聞いてきた沖田の言葉
神楽は、俯いたまま、口を開いた

「わ、私の事、友達にしか見れないって・・」
さっきの突然の告白。今日の突然の訪問、キス・・・どれも、未だ信じれないモノばかり
たとえば沖田の話しを鵜呑みにして、もしそれが偽りの言葉なら、今度こそ自分は立ち直れない
ならばいっそ、何も信じないし、何も分からなくてもいい。そんな考えと、目の前の沖田の言葉を信じたい自分が居る
そんな中から出てきた言葉。どんな返答を沖田から返してもらいたいのかなんて、もう既に分からなくなっていた

「確かに、お前の事振ったのは俺でさぁ。ただ、そっから連絡が付けられなくなって、ずっと気になってた。一年前街中でお前見たときに、ゆらゆら曖昧だった自分の気持ちがはっきりした。元もとそれ以前から好きだったんだろうけど。お前に連絡取りたかった。何回も、一年前に声をかけなかった事を後悔していたんでィ」

<ウソ・・・・。>

神楽は、思わず体を起して、沖田を見る。沖田も長い間、自分を思っててくれた。すれ違いさえなければ、もっと早くに思いは通じていたのだ。沖田は真っ直ぐに自分を見る。先程までの恐いくらいの荒々しさは、とうに無く、落ち着き静かに神楽を見る、その目は、少し切なく、それで居て、何処か優しい瞳。
本当に?本当に・・・・?沖田の言葉を信じていい?
ううん。信じたい・・・そう思える
自分を見るこの瞳を信じたい・・・・

ただ、この急な展開に気持ちは付いていけない
ヨタヨタと立ち上がり、頭を少し整理したいと浴室に神楽は入っていった

先程から、今まで、明かりもつけずにいた事を、今更ながら気付き、ようやく沖田は立ち上がり、手を這わし、電気を付けた
部屋自体は、広くない。一人暮らしには丁度いい広さの、2DK,奥の部屋には、ベット、タンス、その前には台が置かれている。意外と綺麗に整理されていて、キッチンには、調理道具が並んでいる。この二年もの間に、変わってしまった神楽に、少し寂しい気持ちを覚える。部屋の中には、神楽の匂いが立ち込めている

それだけで落ち着いた気持ちになるような気がした。
普段殆ど冷静な自分を崩さない。自分でも、先程の事に驚く程だった


<二年も経ちゃあ、変わるよな・・>
沖田は奥の部屋に入る。台の上には、大学の課題、ペン、消しゴムなどが散らばっている
沖田は、変わらない神楽を見つけて、少し懐かしいように微笑んだ

そこに、一つのノートを見つける。
diaryと書かれている。
沖田は、見ちゃいけないと分かっている、プライベートの事
一旦置く。しかし、どうしても、そこに目がいく。
自分が知らなかった神楽、何を考えて、どんな生活をし、何を思っていたのかをどうしても知りたい
そんな衝動に勝てなかった
駄目だと思いつつ、その日記に手を掛ける

日記帳には、その日の他愛もないこと。料理の事。銀時の事。ハゲ親父のこと。
色々書かれていた。パラパラとめくって行くと、白紙になる

何も思わず、そのままパラパラとめくって行くと、再び何か書いてあるのが見え、戻す

何で間隔を・・?と思い、書かれた文字に目を通し、その目は大きく開かれた
 
【会いたい・・連絡したい
誰かに聞けば分かるのに・・でも聞けないよ。だって振られてるんだよ、未練ありすぎ
・・・・・・・・・・・・・
もう忘れたい
・・・・・・・・・・・・・
今日も、アイツの夢を見た。夢の中で会えた。嬉しい
・・・・・・・・・・・・・
今日、皆で遊んでいたら、あいつの名前が出てきた。元気みたい。安心した
・・・・・・・・・・・・・
あいたいよ
・・・・・・・・・・・・・

もう忘れる・・決めた
・・・・・・・・・・・・・
やっぱり駄目。あってないのに、どんどん思いは膨らむ
辛い
・・・・・・・・・・・・・

同窓会がある。アイツも来るかな。勇気出してあいに行こう
でも一人じゃ怖い。拒絶されたらどうしよう
冷たい目で見られたら・・・

・・・・・・・・・・・・・

同窓会で見たあいつは、前より何倍も格好良くなってて
凄くドキドキした。普通に話せるか心配だったけど、話せてよかった
やっぱり、好きネ】

・・・・・・・・・・・・・

気が付くと、夢中で読み漁る自分に気付く
思いは膨れ、そして溢れる、大切で・・愛しくて・・どうしようもない程の気持ち
顔は、緩んだり、切なくなったり、忙しなく変わる




「お、お、お、な、何見てるか!!!」

着替えを持ってくるのを忘れ、沖田にに気付かれないよう、そーと取りに来たのだが、日記を見ていた沖田に焦って、タオルのまま出てきて、日記を取り上げた

風呂上りと、日記を読まれたので、沸騰寸前まで怒っている神楽
体からは湯気が出ている。その湯気は怒って出てきたものか、風呂上りの湯気が、分からない程だ

「みみみみ見たか・・お前」
怒り、恥ずかしさがごちゃ混ぜになる
日記を握り締め、自分がバスタオル一枚な事も忘れている

「見た」
沖田は、居たって平然と言葉を言い切る。何も悪いことはしていないかのように・・

「どどどこヨ」

「俺の事書いてるところ」
沖田の言葉が開くと同時、神楽は叫んだ

「ぅわぁぁぁぁ!!!。お前最低アル!!。常識とゆう文字がお前に分かるか!?日記とは読んじゃいけないモンネ!!」 
完全なパニックになった
目はグルグルと高速回転をし、顔は真っ赤、そんな神楽をただただ見つめていた沖田。ふぅとため息を漏らし、ヨイショと立ち上がる、そして神楽をゆっくりと抱き締めた

「遅くなっちまって、悪かった・・」
神楽の頭に、顎を乗せる

「え・・?何がアルか・・」

沖田に抱き締められたまま、神楽は言う。遅くなって悪かった・・それは何をさして・・?
自分を抱き締める沖田の体が、心地よく、どうしようもなく嬉しかった
まだ背中に手を回すのは気が引け、沖田の服をちょこっと握った
たったそれだけの事が、嬉しい・・・

「神楽の事、ちゃんと、俺は好きでさぁ・・・」
ゆっくり、確実に沖田から出る言葉

さっきから、何度も聞く言葉、でも今のは完璧にキタ
ちょこっと握っていた手を、背中に回し、思い切り抱き締めた

口を結ぶ。下唇を咬む
何回思ったか・・・何回願った・・・?
好き・・好き・・好き・・・・・・

どんなに諦めようとしても駄目で、その度、どれだけ思ってるか気付かされて
そのたび傷ついて、辛くて・・悲しくて・・・

全身に、鳥肌がたった
嬉しくて、嬉し過ぎて・・・・

俯き、沖田の胸にうずくまる神楽の頬には、流れる筋の後
幸せ過ぎて恐い・・・

そんな事を、自分が考えるなんて、思わなかった・・・・


……To Be Continued…

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