ココ★

あちら、こちらで、彼岸花が咲くあの場所へ、年に一度帰ってくる人のために、皆が逢いに行ってるヨ
あたしも、沖田に、――――逢いたいナ…。


ねぇ、沖田。
沖田が、あたしの前から居なくなって、見る事が出来なくなって
その温度を感じる事が出来なくなって、もうかなりの時間が経ったヨ


沖田のね、ぶっきらぼうな優しさが、大好きだった。
面倒くさそうな振りして、仕方ねェなってする表情が大好きだった
あたし、とっても幸せだったヨ

だから、寂しくないヨ
だって、沖田は居なくなっちゃったけど、この子が居てくれる
最後に沖田が残してくれた、宝物

あたしには、愛しくて、愛しくて、たまらない、宝物
この子が居たら生きていける
もうお前の事、追うだなんて、銀ちゃんを困らせたりしない

でも、もう一度願いが叶うなら、今すぐ、今すぐ逢いたいヨ
前みたいに、涙止めてヨ
前みたいに、泣き虫って笑ってヨ
前みたいに、ほっぺたにキスしてヨ…。

なんで、なんで居なくなっちゃったノ。

あたし、まだ沖田に話したこと、沢山あるんだヨ

まだ、キスし足りない

こんなにも、お前の事がスキって体が唄ってるノ
大好き、愛してる、もっと顔…見せて。声、聞かせてって…泣きながら唄ってるんだヨ

沖田の馬鹿…馬鹿…馬鹿…ばか。

先に逝っちゃうなんてひどいヨ。あたしの事置いてくなんて…ひど―――。




「勝手に人を殺すな、馬鹿ヤロー。」

「――――だって、お前出張から全然帰ってこないし…。携帯繋がらないしっ、妊婦のあたし一人で心細かったアル。」

「だからって、どんな設定でィ。不吉でしょうがねェよ。」
「だったら、もっと早くに帰ってくるヨロシ。寂しくてやっぱり追って行こうかと思ったアル。」
「頼むから、そんな腹ぼてで出歩くな。気が気じゃねェ。」
「全然携帯繋がらなかったくせして、どの口が言うアルカ。」

「オメー。本当に口のへらねェ女だな。塞ぐぞ。」

「ばか、ばかアル。キスさせて欲しいなら、そう言えばいいのに、素直じゃないアルナ。」
「それはテメーだろうが、とりあえずナンだ…キスさせろィ。」


「―――し、仕方ないアルナ。 ………沖田。」
「なんでェ。」
「―――おかえり。」
「ただいま、神楽。」


FIN

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