act 4


「こういうのは、何か苦手アル・・」 
苦い顔をしながら神楽は言う。ともあれ、コレで依頼は終了。ありがとうございましたと帰ろうとする神楽の手を、連は掴んだ。

「も、もうちょっと・・いきなり居なくなれば、嘘だと思われるかも知れないし・・」
苦肉の策だった。もう少し神楽と居たい。このバカなお芝居を、続けたいと・・。神楽は少し考えるが、それもそうだと分かったと、返事をした。
「手・・繋いでいい?」 
う〜んと考えたが、コクンと頷く。ぎこちなく、神楽と連の手は絡まった。連は、そのまま万事屋まで送り届け、また明日も来るよと神楽に話した。少し躊躇い、分かったと笑う。連は神楽が階段を上がりきり、扉が閉まるまで見送った。

そして、その一部始終を、黒服に身を包んだ沖田が、見ていた。
.......

「あぁ〜何か・・何かアル〜〜」
ソファにドサっと寝転がり、訳の分からない事を言う。銀時は、ジャンプを読みながら、ヤッパリな・・と思う
「まだ、解決してねぇのか?」
「う〜。解決・・した・・ンだけど、まだすぐに離れると怪しまれるって・・う〜〜〜」
ヤレヤレと銀時は頭をかく。そんな事になるだろうと思っていた。神楽は鈍感だから分からないが、約2名は丸分かりだ。どうしてこんなにニブチンなんだとため息が出た。そこに追い討ちをかけるように、訪問者はやってくる。ピンポーンと音と共に。
「あれ、沖田さん、どうしたんですか?」
 新八の声に、神楽はギョッとし、銀時は、がっくりとうな垂れる。今度は何だと・・。どうしてこうも男が集まるんだと・・。モテない娘を持つのも、親なりに寂しい気もするが、こうも寄って来ると、かなりうっとうしいものがあった。


「チャイナ居やすかィ?」 
ほぼ声と同時に、流れるように入ってくる。神楽が家に居るのは分かってたんだから。ソファに寝っころがって、、明かに面倒くさそうに沖田を見る
「何ネ?何の用アル」
 相変わらず、自分には、毒舌を吐く。神楽から腕を絡ませ、寄り添い、最後は手を絡めるのを見ていた。最初からつけてた訳ではなかった。本当に偶然見てしまい。見るなと言う自分と、どうしても気になる自分が戦って、つけてしまった。単純な嫉妬。自分が相手なら、絶対しないし、手を絡めるなど、天と地がひっくり返ってもしてくれそうにはない。それをいとも簡単にする連に、腹がたった。見てるしか出来ない自分にも吐き気がした。

「テメー娼婦にでもなったつもりかィ。よりそって、腕絡まして、手ぇ絡まして・・」
カッと顔が赤くなった神楽の手が、勢いよく、沖田の頬に振り下ろされた。新八は、修羅場だとワタワタし、銀時は、死んだ目をしながら、要領悪すぎ・・・と突っ込みを密かに入れていた。
「お前に何も言われる筋合いナイネ!!!」
神楽は真っ赤になりながら、沖田に罵声を飛ばす。すると沖田は神楽を無理やり引っ張り、万事屋から出て行く。新八は、あい変わらずオロオロし、神楽は、本気で嫌がり、引っ張られる間も、必死に抵抗し、何回も沖田に足で蹴りを入れる。それでも沖田の手は一向に緩まない。
「ぎ、銀ちゃん!!」 
銀時に助けを求めたが、ジャンプを読みながら、後ろでに手をひらひらさせ、取り次がなかった。裏切り者〜〜と神楽は叫びながら、引きずられていく。

「銀さん・・良かったんですか?神楽ちゃん、確実に傷物になって帰ってきますよ。」
「マジ!?やっぱマズッタ?」
「もう遅いと思いますが・・」

「ヤメ・・・んっ・・ヤメロ・・ハァ・・・やっ!!」
思い切り沖田を、反対の路地側の壁に押し返す。ハァハァと息が上がる。
「お前・・どういう・・ンンッ・・・」
いきなり、路地に引っ張り込んだと思えば、すぐに口を重ねられた。激しく抵抗をしてみるが、沖田は本気で押し付けた。敵うわけがなかった。舌がクニュと入ってきた。初めての感覚に、頭は真っ白。酸欠状態。息継ぎをどこですればいいかさえ分からない。嫌がり、ドンドンと胸を叩くが、その手はあっけなく片手で掴まれる。
息が出来なくて、思い切り押した。壁際にドンと当たった。目はまだ、自分を見据える。えっと思った時には既に遅し、更に激しい口付けに襲われる。逃げないように、沖田は両手でホッペを固定し、自分の舌で、神楽の口内を味わいつくす。
「オキ・・・・・・」
 ガクンと足が崩れる。すばやく沖田は手で神楽を抱く。

顔は真っ赤になり、目はトロンとし、呼吸は速く、ドクドクと波打つ。
「立てますかィ・・?」
言葉だけで、ゾワリとした。毛が立つような感覚。震える体。立ち上がるのにも力が入らない。沖田が手を出してきた。出そうと思った手を、ぎゅっと握り締める。
「ひ、一人で立てるアル」
気丈に振舞う不利をする。沖田の世話にはならない・・。
ゆっくり、壁を伝い、手を這わし、立ち上がる。その光景を、沖田はずっと見据える。見られてると分かるからか、緊張し、体が硬くなる。ゆっくり立ち上がって、ふぅと息をつき、沖田の顔はこの際無視だと歩く。すると、やはり足がついてこず、顔からそのまま前に倒れる。ヤバッと思ったときには、沖田に担がれてた。

「どうせ、腰が抜けてるんだろうィ。大人しくしてなせぇ」
「おおおおおお前が、腰を・・抜かすような事をしたんダロ!!」
「あんなんで腰を抜かすようじゃ、もっと凄い事した時なんて、一体ぇどうなんだろうねィ」
「も・もっと??もっと凄い事って何アル??お前とそんな事する関係じゃないネ!!」
「残念。俺ぁ昔から、アンタとそんな事したいとずっと思ってましたけどねィ」
「ば・馬鹿じゃないカ??どんな関係アル!!」
「実践しますかィ」
自分を、片手で、まるで荷物を持つように持っている腕。その上から聞こえる声に、安易に想像して、赤くなり、グッと堪えた。

「ヨっト・・」
読み終えた、ジャンプや古雑誌が置いたあり、座るには丁度イイ高さの所に沖田は、神楽を座らせた


「お前・・何のつもりネ?!」 
相変わらず、自分を見る神楽の目は、鋭い。
確かに、先ほどの自分の行動は、今更だが、どうかと思う。気づいた時には、万事屋に足が向い、神楽の態度を目の当たりにした途端、体は勝手に動いていた。路地に連れ込み、神楽の口を貪る。もう止める事なんて出来なかった。理由は幼稚で至って簡単。あの連と言う男より自分が上に立ちたかった。手も握った事はない。腕なんぞ組んだ事もない。甘い声で名前を呼ばれた事もない。あんなに柔らくアイツを知らない。俺には見せてくれない表情を見せる男より、自分の方が・・と血が上ったのだ。自分は素直に中々言えない。ただ、この体からあふれ出てくる思いを少しでも伝えたい。そんな感じだった

再びゆっくり、顔を傾け、何も言わず神楽の口に重ねようとする。が、神楽の手が口を覆う。沖田は、ゆっくりその手をどける。神楽を真っ直ぐ見つめ、一切視線はずらさないまま。とくとくと神楽の心臓は奏でる

<な、なにアル??!体が動かない・・>
口からそっと手をのけられ、沖田に凝視され、神楽は動けない。再び沖田は神楽に口を重ねた
「柔らけェ・・」
いったん口を離し、蒼い目を覗く。神楽はもはや何も言わない・・言えない。
「悪りィけど、あの男にお前を渡すつもりはねぇ。てめーは俺のモンでさぁ」
いつもの憎まれ口。サド笑い。沖田は、ゆっくり神楽を抱きしめた。神楽は、自分の両手を、何処に置くか迷い、戸惑っている。宙に浮いたまま、ブラブラさせてる。沖田は、自分の背中に、中々巻き付いてこない手を、ココに置けとでも言うように、背中に回させる。そして後ろに回された手は、ゆっくりと、背中に巻きつく

「む、ムカつくネ」
「何がでィ?」
「全体的に・・」
「あぁ、キスで腰抜かさして、あげく俺にコロッと参っちまった事にむかつくんですかィ?」
「ち、ちが・・ワナイアル・・・」
「ヤッベ!食ってイイ?」
「ななななな何をアルカ??」
「何って、アンタ以外何があるんでさぁ・・」
「ギャーーヘルスッッ!!」

FIN

作品TOPに戻る






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -