最終話

「フフフ・・・」
お妙は、不適に笑う。

「最初から、逃げるのは承知の事!!ちゃんと策があるのよ!!」
そういうと、お妙は、マイクを持ち、体育館の入り口に立つ。

「かぐらちゃ〜〜〜ん。ス昆布10個買ってきたんだけど〜どうしようかしら〜〜〜!!」
キーンと音と共に、お妙の声は、体育館は勿論、外にまで聞こえた。そして、勿体無いけど、廃棄かしら〜〜と叫ぶ。
生徒に、人差し指を立て
「一分以内にきます」

とにっこり笑った。
そして、まもなく、轟音と共に、神楽は現れた
「ス昆布〜〜!!何処アル?廃棄なんて、とんでもないアル!全部神楽様が頂くアル!」

キョロキョロと体育館を見渡し、一通り見渡した視界に、お妙が微笑んでいるのが見えて、サヨナラ〜と回れ右をする
頭を、ガシっとお妙は握り、ミシミシと神楽の頭は音を立てた
「こ、壊れる・・姉御・・頭が〜〜」
ちゃんと、壇上に上がりましょうね・・と笑うお妙の顔が、どれだけ恐かったのかは分からないが
おとなしく神楽は、壇上に上がった。

「オイ、総悟、総悟がまだだぞ!」
「あいつだけ逃げやがったんじゃぁ」
「突っ捕まえてくらぁ!!」

近藤、土方、高杉は、散々の恥をかかされ、よもや自分だけ逃げようとする沖田を、逃がすかと入り口に向う

「ふふ、大丈夫です、沖田君の性格からして、土方さんの時みたいに、今度は神楽ちゃんがキスをされるなんて我慢が出来るはずありません。なので、すぐに神楽ちゃんを追いかけてきたはず・・そうでしょ?」
お妙は、入り口にたったまま、様子を伺う。すると、お妙の言ったとおり、沖田が渡り廊下の向こうから歩いてくるのが見えた

「さすが姉さんだぁ。近藤さんが惚れるだけありやすねィ」
パチパチと拍手をしながら歩いてきた。

「さぁて、折角恥をかかない様に神楽と逃げたのに、自分から出て行く様なヘマしやがって・・あのクソ女をどうしやすかねぇ・・・・・」

ニヤリと笑いながら、壇上の上の神楽を睨みつけた。神楽は顔を引きつらせ、ひたすら落ち着くアル!落ち着くアル!
と叫んでいた。

つかつかと沖田は、神楽の元へと行く
丁度、隣同士、そして向かい合わせになると、コレまで以上に体育館は沸いた。ギャラリーも先程から徐々に増えていき、全校生徒のおよそ半分にも満たした。
「ホッペにちゅーでいいアル。簡単な事ネ。さっさと終わらせて帰ればいいアル!!」
何とか沖田の機嫌を落ち着かせようと、必死で話す。その様子を、無表情で見る沖田が、逆に恐ろしかった。

ギャラリーは沸点に到達しようとした。土方、高杉、近藤のファンは多い。しかし、沖田のファンは、他の三人のファンとは違い、中々強く、しつこく、達の悪いものがあった。き〜す!き〜す!とおだてる者もいたが、体育館の中で、可愛くないだの、陰口にならない陰口を言う者も居た。壇上の下から、
「似合わないよね〜!」
「大して可愛くないのに・・」
などと声が、必然的に神楽の耳にも入る。見たくないなら帰ればいいのに、あえて其処から動かなかった。神楽は動きがぎこちなくなり、固まってしまった。
手ぇ一本動かせなくなってしまう。見かねたお妙は、静かにしろやぁぁ!!と女に突っ込んだ。

「神楽・・早くちゅ〜でも何でもしなせぇ・・」
面倒くさそうに沖田は、正面を向いてるまま。沖田の方を向いてる神楽が、顔にちゅっとキスをすればそれで終わりなのだが、皆に見られていると言う緊張から、中々動けない。指先がピクリと動く。神楽は、そこからゆっくり手を沖田の顔に持って行く。そっと沖田の頬に手が届きそうになる、ゆっくり神楽は自分の顔を沖田に近づける。相変わらず沖田は真正面を向いたまま。表情はない。何故かそれが酷く悲しくなってきてしまう。ただキスをすればいいだけ・・。
これは頑張った沖田へのご褒美なんだから・・。お妙も、ミツバも、また子も皆した。自分だけじゃない。
だけど、どうして沖田の顔は、笑ってないのだろう。照れてさえいない。見世物になるのがそんなに嫌だったのか・・・。考えれば考えるほど辛い。徐々に沖田の頬に近づいていく神楽の表情は、曇り、下まつげには涙がたまり、今にも泣き出しそうだ

<こんなの・・ご褒美じゃなくて・・バツゲームだ・・>
震える手で、沖田に触れた瞬間、ぐいっと沖田に引かれたのが分かった

そのまま沖田は、壇上の上で、神楽の口を塞いだ。
ウワァァァァッァァァ!!!!
と言う歓声が館内で割れた。
神楽は、何が何だか分からない状態。沖田は、そんな神楽を気に留める事無く、角度を変え、ひたすら神楽の舌に
吸い付いた。神楽が意識を戻し、あわてて口を離す。言葉にならないまま、あ・・・う・・等と意味の分からない単語を放つ。沖田は神楽の体をギュッと抱きしめ、鼻と鼻の僅かな隙間から、神楽に話す

「オメーは俺のモンだろィ?」

「あ、当たり前・・アル」

神楽は、自分の体に絡まる腕が恥ずかしく、顔を赤く染めるが、嫌とは思わない。むしろ嬉しかった。

「俺も、テメーのモンでさぁ・・やきもち妬く暇があるなら、目の前の女に見せ付けてやれ。私のモノだってな」
そう言うと沖田はニヤリと笑った

くすっと神楽は笑い、白い歯を覗かせた。

「そ〜アルナ!」

そう言うと、沖田は神楽の腰に腕を更に絡ませ、神楽は沖田の首に腕を絡ませ、互いの唇を再度強く重ねた・・


その後、館内はかつてない騒音に見舞われ、土方とミツバはお互いに赤くなり、近藤は妙に、もう一回とせがんで
吹っ飛ばされ、高杉はまた子からの強い抱擁に包まれた



FIN

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