最終話

「っん・・・」
瞼がゆっくりと開く。見えるのは天井・・そして視線だけをずらせば・・

「神楽!!」
間髪入れずに、沖田の両手は、神楽を抱き締めた
時間はもう深夜を回っている。
あの後、沖田は、すぐに携帯を取り出し、それぞれに連絡を入れた
皆から安堵の声が上がり、お絶えは、電話口の向こうから、嗚咽を出していた

すぐに集まる。抱かかえた神楽と一緒に、すぐにつれて帰った
神楽の周りを囲むように、それぞれが、一時は睡魔と闘っていたが、やはり誘惑には勝てず、疲労も重なり、各二人ずつ、折り合うように眠っていた。
そんな中、皆は沖田の言葉で目を覚ます

「神楽ちゃん!!!」
「心配したッス」
「もう何処にもいっちゃ駄目よ・・」

「ったく、心配かけんじゃねーよ」
「まぁまぁ・・無事見つかったんだ。いいじゃないか」
「山に登るって、やっぱ普通じゃねーわ。お前」

ぐるりと見渡せば、皆疲れきったような、ボロボロの顔、格好。どれだけ心配をかけた?どれだけ探したのだろう?
ごめんなさい・・・自然と出た素直な言葉

女の子は、微笑をもらす
男は、しゃーなぇなと笑う

一番最後に、もう一度沖田の顔に視線を戻す
「ほんっと・・・心配かけやがって・・・」
顔を歪め、手の甲で、優しく頬に触れる手
若干震えているように思えたのは、間違いなんかじゃない

自然と、席をたつ、友達

一瞬、ミツバと目が合う。
柔らかい微笑を神楽にむけ、出て行った

.............



「・・・・・・・総・・「俺は・・・拒絶した訳じゃねぇ・・」

名前を呼ぼうとした瞬間、沖田の声は神楽の声を遮った
その言葉を、黙って神楽は聞くことにする

「俺は、お前と、別れるつもりなんざ、コレから先も絶対ねぇ。今まで、お前を大事に思ってきたんでぇ。オメーは、俺の、一番大切な・・宝物・・みてぇなもんでさぁ。壊れないように、優しく、優しく。ずっと守ってきたんだ。欲に付き動かされて・・衝動に走る様な真似はしたくねぇ・・」

俯きながら、そこまで言い切ると、顔を上げ、真っ直ぐに神楽の方を見た
信じられないような顔。嬉しい、でも少し混乱してるような・・
更に言葉を続ける

「もっと、俺が責任取れるようになったら、卒業して、自分の力で、ちゃんとお前を守る力と、金と出来るようになったら・・・そん時は・・嫌だっつっても、絶対ぇ抱く。まぁ、嫌がられることなんて、ありえネェけどな。お前、俺にベタ惚れだからねィ」

にやっと、口元を吊り上げ笑う
さっきまで感動で胸いっぱいになっていた神楽が、顔を真っ赤にしながら、さっきまで自分が使っていた枕を投げた

「な、それは私の台詞アル!お、お前が私にベタ惚れなんダロ?!」




「あぁ。お前に惚れてる・・骨の髄まで・・てめーしか見えねぇ。だからお前も、胸張って自覚しろィ。一体誰に愛されてると思ってンでさぁ・・」

神楽の瞳は大きく開かれた。油断した。不覚だった。ずるい。馬鹿げた事をいった後に・・こんな台詞・・反則・・・。

「そ、そん・・っ・・」
ハラハラと落ちてくる涙
感動した。彼の言葉に、純粋に、深く感動した
まるで、プロポーズみたい

「その通りでさぁ・・他に何て聞こえるってんだ」
神楽の声は、思っていただけかといたが、声は駄々漏れだった
顔が、くしゃっと崩れるのが分かった
泣かすなんて・・反則・・こんなに嬉しいなんて・・私を泣かす天才・・嬉しいとき、悲しいとき、怒ったとき、どんな時も、自分を泣かすのは、目の前のこの男だけ・・。

頭を引き寄せ、ゆっくり自分の胸に抱き寄せる

自然に神楽の腕も、沖田の背中に回される

「・・・す・・すきアル・・」
「うん・・俺もオメーがすきでさぁ・・」

沖田の胸から出てきた小さな顔。其処に影を作り、重なる。
目を瞑って、感触に身を任せる・・
この人をすきになって・・本当に良かった・・・



心配そうに、部屋の外で様子を伺う友達は、よっしゃと、ガッツポーズをした

・・・・・・・・・・・・・



「荷物・・ちゃんと持ってますかィ」

「あ〜大丈夫アル!総悟、これ持ってヨ。重い」

「オメーどんだけ持たすきでさぁ。全然持ってねぇじゃな〜か!」

「ベタ惚れなんダロ・私に尽くすヨロシ!」
コイツ・・・黒い笑みを一瞬させるが、その瞳は柔らかく微笑んだ
......


「晋介様〜持ってください〜」
「ったく・・ほら貸せ・・」
......
「コレ俺が持つから、お前手を離せ」
「まぁ、そんなに持ってしまったら、私は空手になってしまうわ」
......
「お妙さん。俺が全部持ちます!!是非、持たせてください!」
「あら、そう?じゃお願いしましょうか」
......
男を巧みにつかい、ニコニコしながら女は出て行く
何だかんだ言って、殆ど荷物を持つハメに・・
揃いながら民宿の前を通ると、急に神楽が声を出した

「写真!!!旅行で一枚も写真をとってないアル!!大事件アル!」
今更ながら、皆も気付く。これほどまでに、波乱に満ちた旅行。確かに忘れていた

「んな、今更いっても仕方ねぇだろィ」

「嫌アル!絶対嫌アル!。一枚でも撮るネ」
何度言っても、譲らない神楽。はぁとため息を付き。荷物を降ろし、小走りで沖田は駆けて行く

.........


「たくっ。言い出したら聞きゃしねぇ・・。ほら」
満面の笑みで神楽は使い捨てのカメラを受け取る
神楽は、お妙の手を引き、ミツバの手を引く。また子は高杉の手を引く
「ほら、皆早く」
親切そうな、おばさんにカメラを渡す
女の子は、彼氏を引っ張る。近藤はお妙の横でニコニコとしている

ミツバの手は、土方の手をそっと繋ぐ。土方は途端に顔を紅らめる。そんな様子を、ふふっと柔らかく笑う

高杉は、明らかに面倒くさそうにそっぽを向く。そしてその腕に絡まるまた子は、とても幸せそうにピースを作る
写真を取られるのは、不本意らしかった。それでも、腕に絡まるまた子の手を振りほどこうとはしなかった

神楽は、中央に、沖田と立った。目の前のおばさんは、行くよ〜〜と声をかける
神楽は、満面の笑みで、両手でピースを作った

そんな神楽の顔を見ながら、沖田はイタズラ心に火がついたのは、言うまでも無い。
カメラに向ってピースをしている神楽の口に向って顔が傾く

神楽の顔が照れて赤面するまで、後3秒・・・・・・・・・

「ハイ!行くよ〜!チーズ☆」


FIN

作品TOPに戻る







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -