いつもの光景
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side:ライチ(ゼブライカ♀)

「特に用事がないから家に帰ろう」
そう言った私達の主人であるジアの発言により
今日はジアの家があるカノコタウンに来ていた。
「久し振りですね」と笑うナナクサに、ミズキが
「いつでも来れるじゃん」とバカにした様に笑う。
言い出した本人であるジアは何も言わず、木陰に行き木に背中を預けて眼を瞑った。
寝ているかどうかは離れていてよく分からないが、
ジアのことだから恐らく起きているだろう。
私は何をしようかと考えていると「天気がいいから
今日は外でお茶をしよう」とヒョウキに誘われた。
外でお茶会をする準備のために折り畳み式のテーブルとイスを
家から出していると、バタバタと誰かが走り回る音が聞こえる。
音がするほうを見るといつものようにミズキが笑いながら
不機嫌なナナクサに追いかけられていた。
たまたま進行方向の先で会話していたメロとトトが居て
トトがミズキの壁にされナナクサと対峙する形になる。
「オレなにも関係ナイよね!?」と慌てた様に言うトトに
「使えるものは使わないとねー」とミズキは言った。
ナナクサは「トトに罪はないですが…攻撃しても良いですか」と
真顔で聞いていた、彼らは相変わらず仲が良い。良いことだ。
その場に居場所をなくし、おろおろしているメロに声をかけ
一緒にお茶でも飲もうと誘ってみる。
メロはちらりと先ほどまで会話をしていたトトの方を心配そうに見る。
あの三人なら何も心配することはないと思うのだが、と私は首を傾げる。
メロの視線に気付いたのか、ミズキとナナクサに挟まれた状態のトトは
へらりと力無く笑い「ごゆっくり」と告げた。
メロは申し訳なさそうに「ごめんなさい、ありがとうございます」と頭を下げる。
少ししてから、ヒョウキがティーポットとティーカップを持ってこちらへ来る。
私とメロが一緒に居るのを見て「メロも飲むのか」と尋ねると、メロは頷いた。
そしてナナクサ、ミズキ、トトの方へ視線を向けるとヒョウキの表情が険しくなる。
どうかしたかと尋ねると「いや、なんでもない」と疲れたようにため息を吐いた。
「俺は後で飲むことにする」とティーポットとティーカップをテーブルに置くと
ヒョウキは三人の元へと走り出した。
突然の事にぱちぱちと瞬きを繰り返す、ヒョウキもあの輪に入りたかったのだろうか。
気を取り直してイスに座り自分とメロのカップに紅茶を淹れると、良い香りが広がる。
今日の紅茶がなにか聞くのを忘れていたことに気付いて、後で教えてもらおうと思う。
乾杯をし、一口紅茶を飲む。うん、今日の紅茶もとても美味しいと思わず笑顔がこぼれる。
メロはストレートで飲むのは苦手なのか、微妙な表情をしていたため砂糖とミルクを勧める。
少し離れたところからヒョウキの怒ったような声が聞こえて
今日もいつも通りで平和だと感じた。

いつもの光景
(これが私とその仲間のいつもの光景)
(皆とっても仲が良いんだ)


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