変わり者とあった日
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side:ジア

「ねえねえ、あなたもいっしょにあそぼ!」
ある日、いつものように独りで本を読んで過ごしていると
ハイテンションな少女が話しかけてきた。
興味ないし、関わる気もない。
だからこうして孤立していると言うのに…たまにこう言う物好きがいる。
大体のやつは放って置くか無視するといなくなる、アイツも同じだろう。
そう思い放置する、…うるさいが気のせいだと思っておく。
本を読み続けていると少女はいつの間にか視界の端から消えていた。
ほら、皆構ってくれないと分かると離れて行く。
孤児院のやつらは見ているだけで疲れて来る。
くだらないケンカはするし、イタズラはするし、
でも片付けはしないし…こいつらバカか?
はあ、とため息をつく。
アイツらと俺は合わない、性格的にも思考的にも違いすぎる。
「…わっ!!」
「!」
もう一度ため息を吐こうとしたその時。
後ろから声が聞こえ、柄にもなく驚いてしまった。
振り向くとさっき話しかけてきた少女がいた。
少女は笑って「ほら、いこ!」と言って俺の手をとり走り出した
先生や院長が走ったら危ないと言ったが少女は聞かなかった。
外に出てようやく少女の足は止まった。
少女は「やっぱり、はしるのはきもちいいね!」と笑った。
もう読書の邪魔をされた怒りより、諦めと呆れを少女に向けた。
「…なんで、おれにかかわるんだ?」
「んーっとね…あそびたかったから!」
はあ、とため息を吐く。
すると少女が「ためいきするとしあわせにげちゃう!ためいききんし!」と言い出した。
「はあ?なにいって…」
「だめだからきんしなの!」
またため息を吐きそうになる、なんなんだコイツ…。
遊びたかったからって他にもたくさん人はいるのに。
「あたしは――って言うの、あなたは?」
「…おれは…」

変わり者にあった日
(彼女が初めての話し相手だった)
(…今は生きているかすら分からないが)


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