彼の過去を聴く
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side:ノビア(偽名:ノクト)

ん?ノクトか、どうしたんだ?
…何々、ヴィフィズのことが知りたいって?また急だな…何かあったのか?
ないならいいんだ、またアイツが変なものを抱えることもないんだからな。
んじゃ、話すか。ヴィフィズには俺が教えたとか言わないようにしてくれよな。
ノクトはヴィフィズをどう思ってるか知らないが、アイツは他人と関わりを持つのが怖いんだ。
…そうは見えないって?そりゃ、元から他人との接触を嫌うような奴じゃなかったからな。
ただ、過去にある事件が起きてから塞ぎ込んじまって…ああ見えて大分改善されたんだぜ?
相変わらずあのクソ寒い場所からは動こうとしないけど…ノクトは拒絶されたこと一度もないだろ?
俺はアイツが塞ぎ込んでた時は毎日のように拒絶されたんだ。自分のせいで誰かが傷つくことを極端に恐れ、一人になることを考えたんだろう。
まあ、俺が一人にさせなかったけどな!我ながら頑張ったと思うぜ。…割りと本気で、こっちまで挫けそうになったからな。

…まさか、その切っ掛けも知りたいのか?俺が言って良いか分からないんだけどなー…。
そりゃ、ヴィフィズは言いたがらないだろうが…って、分かったからそんな罪悪感が湧く目でこっち見んな!
ったく、これで怒られたらノクトのせいだからな?

それは、よく晴れた日のことだった。
ヴィフィズはいつものように近所の草むらを人間に見つからないよう静かに散歩していた。
しかし、運悪く人間見つかってしまったヴィフィズは逃げ出そうとしたが逃げている最中に攻撃を受け…ボロボロになってしまう。
それだけならまだ良かったんだ、…しかしまだ終わらなかった。
その人間はまだ経験値が足りないと、他のタブンネも近くにいるんじゃないかと辺りを探し始めたのだ。
もちろん、近くにはヴィフィズやその家族であるタブンネ達を含め作られた小さな集落があった。
それを人間が見つけたらどう思う。ノクトなら、この出来事をどう取る?
…ああ、そうだよ。人間は片っ端からタブンネをボコボコにしたさ、抵抗しようとする者もいたが種族上彼らは攻撃に向いていない。
力押しをされてしまえばやられるばかり、皆がボロボロにされるのをヴィフィズは見せられていたんだ。
自分が原因でこの惨状が出来ていく様を人間の気が済むまで、ずっと。これだけでもダメージは大きかったんだ、なのに…。
人間は、さらに欲張ったんだ。隠れてたタブンネ達も探し出してボコボコにしたあげく、アイツの家族にまで手を出しやがった!
…ヴィフィズにはトキって名前の妹が居るんだ。けど、その時はまだ小さかったんだよ。そんなの関係無しに襲われて、表に出されたことで惨状を見せられて…。
その時のことがトラウマとして残っちまってさ、男性恐怖症とタブンネ狩りに対する異常な嫌悪感を示すようになったんだ。
ヴィフィズは拒否されることなかったみたいだけど、俺は過剰ではなくても距離をとられたことは悲しかったな。
今は少しマシらしいけど。すぎうら…てか俺の妹、見たことあるだろ?が言ってたんだよ、「トキはトレーナーと旅をしてる」って。
しかも、そのトレーナー男なんだと。何故かそこまで拒否しなかったらしいがそのトレーナーにも何かあるんじゃないかと俺は踏んでる。
…え?そのトレーナーに特徴はないのかって?オッドアイで身体能力が並外れてるらしいけど、それがどうかしたのか?
ただ気になっただけ?それならいいんだけどな、とにかく変なことしてまた巻き込まれないようにしろよ。
ヴィフィズのこと、頼めなくなるからな。


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