冬のあるひ
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季節は冬、空気も風もすっかり寒くなって他の奴らは外に出たがらない。
すぎうらは炬燵にこもるし、ヴィノは毛布を手離せない。セーラに至ってはブラッドに引っ付いて離れないようになった、どうやらブラッドは体温が高く暖かいらしい。本人はとても不本意な顔をしていた。……子供体温と言うと余計怒られそうだな。
そんな中、驚くことにさかみやは平然としている。氷が弱点な三人があの様だからてっきりさかみやも寒がるかと思ったがどうやら平気らしい。さかみや自身も少し不思議そうにしていたが、「私は普通じゃないですし」と笑っていた。…それが一度死んだからなのか、元は人間だからなのか。俺には分からない。
そんな感じで俺達は冬を過ごしているんだが、最近俺達のトレーナーであるシナがハマってることがある。

「かいづかー!見て見て!!」
「どうした?って、それ…」

シナが見せてきたのはミカンの白い部分を綺麗にとったミカンだった。「どう?すごいでしょ!」そう言ってドヤ顔をしながら誇らしげされたのだが、このときばかりは反応に困った。
確かにすごいとは思う、俺は綺麗にとろうとしても途中で飽きるからな。ただ、そのせいで爪や指の辺りが黄色くなっていることに気づいてなんだか生暖かい目をしてしまった。微笑ましい、というべきだろうか。
しかし、その作業にハマったのか鼻唄を歌いながらひたすらミカンを綺麗にむいているのを見たときは驚いた。…その皮をむいたミカン、置きっぱなしで食べてねえんだよ。思わず「バカか!?」とつっこんでしまった。ちゃんとみんなで食べたけど置きっぱなしはダメだろ…。


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