某時刻、語り屋の日常にて3
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実験も情報操作もお手のものと言えるほど、才能に溢れたら人がいました。
威張ることはせず、ただ楽しく仲間と才能を磨き、時には教えている立場にいた人でした。
しかし、その才能の持ち主は得より損の方が大きい人生を送ることになったのです。
自分が道を踏み外さざるを得なくなったのは、その才能を身に付けてしまったから。
才能がなければよかったのか、なんて僕には関係ありませんし分かりません。
そんな体験したことないですからね。

ふふっ、大体そんなものでしょう?
他人は何があっても、どれだけ想おうと所詮他人なのですよ。
それが僕の答えです。
…さて、少し語ったところですがこの話が本題じゃないのです。
本題と言いますか、悩みと言いますか。情が移ってきてるんですよ。
知り合った人たちに対して。
最近よく外出をしているのですが、世の中は不思議ですよね。
僕にも知り合いも友達も増えたのです、心から嬉しいと思っています。
ですが、本当にこれでいいのかと。たまに不安に駆られるのです。
…僕は語り屋ですから、普通にはすごせませんし生きれません。
もしかしたら、僕が気づいていないだけかもしれませんが。
知り合った人の中にも、未来や過去を知っている人がいるかもしれないのです。
…これってプライバシーの侵害ですよね、今更ですが。
訴えないでくださいよ?これは不可抗力ですので。
語り屋の職業のせいです、言い訳とか言わないでくださいね。

物語は空想ではなく現実で、それが重く感じる今日この頃。
…いろんな人が行き交う中、また物語が増えていく。
それは幸せなものだったり、悲しいものだったり、…当然かもしれませんけど。
なんだか最近変なことばかりですね、僕。
駄目ですね、切り替えなければ。他人は所詮他人でしかないのだから。
そうじゃないと、あとが辛くなるのは目に見えているから。

…さて、今日は散歩にでも行きましょうかね。物語に会わなければいいのですが。
パチンと指をならし扉を出す、まるで魔法みたいですよね。
僕自身、魔法なんて使えませんが。語り屋がなければ普通の化け狐。
それが僕、それだけ。


某時刻、語り屋の日常にて3
(ギイ…と音を発てて扉を開く)
(自然と口角が上がるのを感じた)



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