狂人が集うは、某各所にて「ふふ、世界は狂ってるね」
沢山の資料を片手に、愉快そうに笑いながら誰かは言った。
狂っているからこそ裏は愉しいのだと、僕を愉しませてよ?
もっともっともっともっと!飽きることない愉しみを!!
僕があの人を見つけ全てを終えるその日まで…存分に狂気にまみれた世界に浸かろうか?
早く早く進めばいい、足を踏み外し落ちて行くを見るも一興。
最後までたどり着き、その後を見るも一興。
要は愉しけりゃいい。世界を嘲笑いましょう、高らかに。
「…狂ってますね」
自然を氷付けにし、邪魔する人をも氷付けにした人が言った。
私は狂っているのでしょうね、頼まれたからなんてきっと言い訳。
一度浸ってしまえば戻れはしない、そんな場所に突っ込んだのは自分自身。
それ以来感情が欠落し出しました、今じゃ表情が変わらないくらいには。
感情は悲しいと言うのがかけている気がします、寂しくもないですね。
さあ、今日も探しましょうか。処分屋として処分すべきものを。
「狂ってるんだろうね、キミも俺も」
裏路地でお面を被った黒いものが呟いた。
この世界は狂っている。…認めたくはないけど、現実はこういうもの。
誰もが狂気を抱え、それを押さえ生きている人が常なのは重々承知だ。
しかし、それは表の話であり裏では話が別だ。
狂気なんてありふれて当然のように充満している。
自分までそれに当てられていて嫌になってしまう。
これだから、裏は好かない…それでもやるべきことのために浸かり続ける。
「……狂ってる…」
白い不思議な人が誰にも聞こえないくらい小さく言った。
狂っている、僕も含めて…いい意味でも悪い意味でも。
それは殺害だったり、強盗だったり、はたまた病んでたり。
人によるけど狂ってるのは間違いなくて、それに浸った前の僕がいるから。
僕は狂ってるのかな?でも、愛してるんだから仕方ない。
大好きで愛しててどうにかなってしまいそうで。
この気持ちを伝えるすべが見つからないのがもどかしいくらい。
嗚呼、今君は何をしているのかな。会いたいよ…。
「…何故、こうなったのだろうか」
ポツリと、廃ビルの屋上で誰かが呟いた。その言葉の意味を知るは本人だけだ。
きらびやかな街を見下ろし目を細めた。嗚呼、どうしてこうなのだろうか。
欲するものを皆貪欲に求め、奪い殺り合い欲を満たすまで続く…それはまるで。
そんなループや考えがチラつき始めたのに顔をしかめ、頭を振る。
狂ってしまうのは仕方ないのだと、半ば諦めていることだけれど。
やはり納得したくないし認めたくないものである、否定してしまいたいんだ。
…どうして、人は狂うのだろう。狂うと言う行為は楽になれることなのか。
楽しいのか辛いのか悲しいのか虚しいのか、今の僕には理解できない。
目を瞑り、そしてゆっくりと瞼を上げる。
「狂喜が入り交じり沢山のものを飲み込んでいく、それは何を意味するか」
きっと、死んでも理解出来ないだろう。僕は彼らのように狂うことが"出来ない"のだから。
狂人が集うは、某各所にて
(吉と出るか凶と出るか)
(きっと、どちらも出てしまう)
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