未来の話、某所にて3
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【某時刻、某所にて】。
【某時刻】はほぼそのまま、変えられることはたまにしかない。
【某所にて】の部分には場所じゃないものも入っていたりする。
何故こう呼び始めたのか、それは僕には分からない。
だって、これは継いだものだからね。知らなくても当然だろう?

…ああ、そう言えば未来の話の続きがまだだったね?すっかり忘れていたよ。
最近は語ることを忘れがちでね、申し訳ない。聞いてる人がいるかは知らないけれど。
誰かが居ても誰も居なくても、語ることが僕の仕事であり使命であり運命だ。
聞きたいならどうぞこちらへ、聞きたくないなら回れ右を。
これでも語り屋と言う者なので、聞くならちゃんと聞いてほしい性分なのですが。
ちゃんと聞いてくれない方はここからいなくなってくださいな?
そうしてくれないと、つい怒ってしまいそうなので。
まあ、ちゃんと聞いてくださってるのならお茶を飲むなりお菓子食べるなり。
何か作業をしながらでも構いやしないのですがね。
それでは、始めましょうか?


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「……やっぱり、…変わった……」

チラチーノ…否クウカイは人気のない場所で一人、町を見て呟いた。
何かが変わった、最近は何を見てもそう感じるようになっていた。
二年程の月日が経ったとは言え、ここまで違和感を感じるのかと少し疑問に思った。

「自分が……変わった、から…?」

自分が変わった。この言葉が意味するのは内面だけではない、外見も変わったのだ。
まだ少しだけ、自分が此処に在ることに違和感を感じているのも確か。
実体の有無だけでもだいぶ変わるものである。

「…………」

今の自分は簡単に死んでしまう、普通と同じ。だから…、彼の問題には簡単に首を突っ込めない。
きっと…もう会うこともないんだろうけれど、少しだけ気になる。大丈夫か心配になる。
僕は君に会いたいと思ってて、でも姿も性格も変わってしまっていて。
君は…ブラッドは、会って話をしてくれるだろうか。自分がスカイだと、言えるのか。
言って信じてもらえるかが不安で、それでも会いたくて怖くて話したくて離れたくて。
矛盾した気持ちや思考ばかりで訳が分からないから、考えるのを止めてみた。
考えるのを止めたら、自分が空っぽに思えて嫌になった。どうしようもない。
これじゃ、ただの自己嫌悪の嵐である。不安定なのは実体を持ったから?それとも。
勝手に姿を消したことに関しての罪悪感なのか、…今のクウカイには分かるわけもなかった。


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ーー


自己嫌悪、誰だってするときありますよね。僕にだってあるさ。…意外?そんな馬鹿な。
僕は結構する方ですよ?信じるも信じないも君次第だけどね、どちらでも構わないよ。
まあ、彼がどうなるか…本当にまた会うことがあるのかは今度にしましょう。
See you next time.


某時刻、未来の話3
(語り屋はそう言って指を鳴らした)
(次の瞬間には、もう語り屋はそこにいなかった)



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