未来の話、某所にて2クラに左足を撃たれて立てずに困っていると、目の前に手を差し伸べてる人物がいた。
…その人物に今、俺は背負われている。どうしてこうなったんだ。
「…キミさ、どういうつもり?」
「何がでしょうか?」
とぼけたような言い方をする人物に、俺は更にイライラした。
ふざけてるのか、コイツ…。
「ずっと見てたわけ、タイミングよく手差し伸べてきてさ」
「言ってる意味がわかりませんよ、赤目の子狐くん」
そう言ってクスクスと笑う奴な頭を、勢いで殴ろうとした…が。
「もし子狐くんが変なことしたら、崖に落としに行きましょうか」
と釘を刺されてしまい、俺のイライラは募る一方だった。
流石に崖に落とされたら死ぬ、助かりようもどうしようもない。
だからただ耐える、早く家につけばいい。
奴は急に"そうだ"と声をあげた。
「僕のことは記憶から消し去ってくださいね?」
「言われなくても、アンタなんか覚えていたくない」
「それは光栄ですね。覚えられたら困りますし」
「………」
言動がたまに不可解だ、何故覚えられると困る?
覚えられると困るのに何故俺を助けた?
そんな疑問がぐるぐると頭の中を巡るが、聞いたところで誤魔化されるだけだろう。
そんな俺を知ってか知らずか奴は笑った。
「クスクス、分からなくていいんだよ。今までも、そしてこれからも…」
「それってどう言う…」
俺がどういうことか聞き返そうとすると、奴は足を止め俺を背から下ろした。
気づけばもう家の前だった。そして、目の前の人物は笑ってこう言った。
「さようなら、もう会わないことを願います」
次の瞬間、強風が吹き反射的に眼を瞑った。次に眼を開けた時には、もう奴はいなかった。
未来の話、某所にて2
(…最初から最後まで訳が分からないままだ)
(助けてくれたのは感謝してるけどね)
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