某時刻、謎の関係にて地面などが一部凍っていたり、切り傷がついた木があちこちにあったり。
大抵の人はここで何かあったと思うだろう、血痕もところどころあるしね。
でも、最初からこうだったわけじゃない。
ついさっきまで、カルテットと空が暴れていたからね。
ふふっ、見てて楽しかったよ?
カルテットが退いたことで終わったのは残念で仕方ないよ、なんであそこで退くのかな…。
あーあ、本当の情報はしばらく黙っとこうか。すぐに教える気もなかったけど。
さて、差し入れでもしに行くかな。
「……………」
「お疲れ様、空。案外粘ってたね」
「クラ…別にスカイでいいよ。…でも、本当これでいいと思ってるの?」
何が、なんて聞かなくても分かる。だけど僕には関係のないこと。
好きなように掻き回して、踊らせて。最終的に僕が面白ければそれでいい。
また何か言おうと口を開こうとしたスカイに、僕はみたらし団子を突っ込んだ。
げほ、ごほっ。ってむせてるけど知らないフリ、なんか視線感じるけど気のせいだね。
どうにかしたいなら自分で動きなよ。
僕は根本的な問題をどうにかすることはしない、虚しいだけだ。…僕にとっては、だけどね。
「とりあえず、それ食べてさっさと帰れば?」
「え、この怪我で帰れと?確実に何か言われるって…」
「薬飲んだんだから今から帰らないと辛くなるよ?」
僕は構わないけどね。そう言ってニヤニヤと憎たらしい笑みを浮かべる。
ジト目で見られたが気にしない。はぁ…とため息を吐いてスカイは立ち上がった。
僕に何を言おうとは結局は無駄だと知っているから。でも、諦めきれないことは言ってくる。
さっきのこととか…ね?
「分かったよ、帰ればいいんでしょ」
あー…なんて言い訳しよう。とかブツブツ呟いてるのを見て僕は敢えてこう言った。
「くすくす、難しく考えずにさ。気楽に行こうよ?」
「無理だ、馬鹿野郎」
段々ブラッドに似てきたんじゃないの?なんてね、君はブラッドでもあるから当然だね。
でも、ブラッドはなんの実験をされていたかの記憶まではないだろうし。まあ、あったらあったで厄介か。
スカイは全部知ってるみたいだけど、それを僕以外に言うことはないだろうね。彼の性格上全てを言うとは思えない。
ただでさえややこしいのに、更にややこしくなる。理解出来るか、って時点でも問題なんだよ。
…今はこの話は置いておこうか。
「君ならそれくらいなんとか出来る、僕は君のことをよく知ってるから分かる」
「簡単に言ってくれるね。俺もキミのことは理解してるつもりだよ」
僕は誰よりも彼を知っていて、彼は誰よりも僕を知っている。
それだけの話、それ以上でもそれ以下でもない。
どういう意味か分かるかな?
それが正解とは限らないけどね、ふふっ。精々悩んでくれたらいい。
「長い付き合いではあるからね。じゃあね"スカイ"」
「うん、またね"クラ"」
帰路につくスカイを見送りながら、くすくすと笑った。やはり、彼は彼のままだと。
いくら変わっても変わりきれていないところは、良くも悪くもあるけれど。僕はそう言うの、嫌いじゃないよ。
君にこの言葉を言うこともないだろうけど…ね。
某時刻、謎の関係にて
(お互い、本名じゃない名前を名乗る者)
(共通点はそれだけじゃない、しかしそれを知るのは本人達だけ)
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