某時刻、雨の降る森にて2
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「…"彼"、止めなくていいわけ?」

僕がそう尋ねると、ついさっきまで話していた"彼"と瓜二つな彼が振り向いた。
瓜二つでも目の色は違う、彼は青で"彼"は赤。
彼は何故か笑っていた。

「いいんだよ、あれで」
「本当に?だって君も"彼"じゃない、"彼"が死ねば君も消えるよ?」

知らない人が聞けば、意味が分からないだろう。
頭がおかしいと思われるかもしれないな、と一人苦笑いした。
でも、これで合ってるんだ。意味も言葉も…ね。

「今行っても意味ないよ、それに…」
「それに?」
「僕も"彼"も簡単に死なないから」

自信たっぷりに言うものだから、思わず笑ってしまった。
「根拠も何もないくせに」そう言うと彼は「僕は"彼"を信じてるから」と言ってのけた。

「本当にキミも"彼"なわけ?別人すぎるでしょ」
「人は変わるものだよ。…あの日から、何処かしら壊れてるんだろうけど」
「君は壊れてないとでも言うのかい?」

僕がそう問い掛けると、彼は少し笑った。
さっきも笑ったけれど、"彼"と瓜二つだから違和感を感じる。
…これは仕方ないよね、"彼"無表情だし。

「壊れてないわけじゃないけどね、前向けてたらやって行けるものだよ」
「この楽天家、"彼"と性格違いすぎて気持ち悪いんだけど」

「酷い」と言う彼に、「"彼"は常に酷いけど?」と言うと。
彼は「まあね」と言って笑った。

「…裏表が激しいって次元超えてるよ、本当に」
「クラも凄いと思うけど?なんでこっちに足踏み入れたのさ」
「ふふ、色んな情報が欲しかったからね」

彼は「嘘吐き」と吐き捨てた、なんとでも言え。

「ところでさ、僕はまだ君の名前聞いてなかったけど…君は名前があるのかい?」

彼は笑って。

「"    "」

"彼"と同じ名前を答えた。


某時刻、雨の降る森にて2
("彼"と彼は実質同じ人物だけど)
(彼は"彼"が無くし置いて来た部分)


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