一人の少年が消えた時、某所にて
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何も言えない奴でごめんね、そこまで出来た奴じゃないから。
言えたとしても、結局何もできないんだ。
それだけなんだよ。

いつからだろうね、キミの声が怖くなったのは。
…嫌いじゃないんだけどね、俺が前より臆病になっただけさ。
……ごめん、今更どうしていいかわからないんだ。
色々考えて、自分は普通とは違うって割り切ったつもりだった。
現実を突き付けられるとやっぱ辛くなったんだ。
…俺はそこに居ていいんですか?
なんてね、冗談だよ。そう思ってみただけさ、思うだけならいいでしょ。
「……じゃあね、セーラ」
「え…?」
ドガッ

本気で殴ったけど、セーラだから大丈夫だよ。気絶してくれればいいだけだし。
…ごめん、俺は……
「もう、そこにはいられない。今まで楽しかったよ、ありがとう、ごめんね…」
これ以上、そこにいるのが辛いだなんて言えなくて。優しさが苦しいなんて我儘で。
こうして独りで行くのも、俺の我儘。…じゃあね。


一人の少年が消えた時、某所にて
(目を覚ましたボクの視界に映ったのは、ボクを起こしたコクヤの姿と)
(さようなら、ありがとう、ごめんねと言う単語が書かれた紙だけだった)



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