単純な話
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side:コクヤ(ゾロアーク♂)

「コクヤはいつまでそうしてるの」
最初は聞かれたことの意味が分からなかった。俺が無言で首を傾げると
ブラッドは呆れたようにため息を吐き、言い方を変えてもう一度言った。
「だから、いつまでそのキャラやるんだって言ってんの」
「ああ、そういうことか」
急に言うからよく分からなかったと言うと睨まれた、そんな顔しても全然怖くないんだが。
確かにブラッドが言うように俺はジアの下に居るときは口調を変えている。
最初は前の主人…さかみやとの差別化だったのだが、今では日中眠くて
普通にハッキリ喋れないだけだったり、今の口調とキャラの方が騒ぎに
巻き込まれずのんびりできるからだったりと結構単純な理由だったりする。
別に無理してキャラを作っている訳でもないが、ブラッドはそう思えなかったようだ。
ただブラッドやセーラ、さかみやには昔と同じように接していたいのか
ブラッドに素だと思われている方でいるのも、原因ではあると思うが
彼らと会うのはちゃんと目が覚めてるときだけだからそうなるだけだし。
「別に無理してる訳じゃないから、心配するようなことはない」
「…誰も心配なんてしてないんだけど」
頭を撫でたら不本意そうに手を払われた、相変わらず無愛想で素直じゃない。
それがブラッドの性格だってことは、俺もアイツらも分かってるんだけどな。
まだ納得してないようなブラッドの様子に、やれやれと言いたくなる。
どちらも素で使い分けてるけど偽っている訳じゃなくて、相手が嫌いな訳でもない。
「どっちも俺だよ」
「は?」
「可哀想なものを見るような目で見るなバカ」
そう言って軽く叩きブラッドを睨みつけるが大して効果がないのは知っている。
こういった言動もジアの下に居るときでは想像できない、この言動に戻しても
驚かれることはあるだろうが拒否される事はないことはとっくに分かっている。
しかし、ただでさえヒョウキは常日頃からストレスが溜まっているのに
俺が言動を変えることによりそのストレスが更に酷くなりそうな気がする。
やっぱり今のままの方が平和かもしれない、下手したら人格が疑われる。
「なあ、ブラッド」
「今度はなに?」
「考えたけどやっぱり仲間のためにも今のままが平和だ」
「…あっそ」
そんなどうでも良いような反応するなら最初から言い出すな、そう思いながらデコピンしてやった。
ブラッドが結局何をしたかったのか聞いていなかったのに気付くのは、ジアの下に帰ってからだった。

単純な話
(この後、ヒョウキにブラッドと話す感じで声をかけてみた)
(かなり心配されて、お前はまともで居てくれって言われた)
(…やっぱり今後もこのままで行こうと思う)


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