「ゲッ…兄貴、今日は女はナシのRedSunsの集まりのはずだろ」

「あぁん?なに啓介、なんか文句あるわけ?言ってごらん」



私が涼介に続いて入って来たのを目敏く見つけた啓介が不満そうな顔で文句を言うから下から思い切りガラ悪く睨めばグッと言葉を詰まらせた。



「まぁまぁ、良いじゃないか。その先だってメンバーだろう」

「そうだよ。ナンバー3の私を差し置いてみんなでクリスマスパーティー?楽しそうだなァおい」



集まってる野郎どもをグルリと見渡せば苦笑してる人もいるけどほとんどは嬉しそうに笑ってくれていてちょっとホッとする。よかった、涼介に誘われて勢いで来ちゃったから少しだけ心配してたけど、やっぱりみんな仲間だ。


クリスマス当日、一緒に過ごす女の子の居ない悲しいRedSunsの走り屋で集まって騒ごう、と誰かが言い出したのが事の始まりだったみたいだ。


私は、なんとなく涼介と過ごすのかな、と思っていたから驚いたし、仲間外れにされたみたいで気分も悪い。


「いやぁ、その先ちゃんが来てくれて嬉しいよ。やっぱり男ばっかだと華が無くてダメだな」

「史浩…!チューしてやろうか!!!」

「あっ!その先さん俺も俺も!来てくれて嬉しいです!!」



優しい史浩に感激してぎゅっと抱きつけば賢太も近寄ってくる。


懐いてくれてる賢太が可愛くて私もじゃれようとすると後ろからお腹に腕が回されてぐっと引き寄せられる。
腕をたどって後ろを振り返れば涼介が少し困ったような顔で私を見下ろしていた。



「その先、大人しくしている約束だろう」

「えっ、あ、うん。…ごめん」



連れてきてくれる事になった時に交わした「節度を保って大人しくしている」という約束を思い出してパッと浩史と賢太から手を放す。
そうだ、大人しくしていよう。
涼介はおおっぴらに嫉妬とかは見せないけど、私と仲良くしすぎた人にはその後しばらくちょっとだけ怖い。他の人に迷惑がかからないように適切な距離を保つのがこのチームの平安を保つ事だと気付いたのは付き合い始めてすぐの事だ。


私なんかの事を好きになる男は物好きな涼介くらいしかいないに決まってるのに。嫉妬するだけ無駄だよ?って言ったこともあるけどそれに対して涼介は柔らかくキスを落としただけだった。


浩史と賢太から離れても涼介は私に巻きつけた腕を解くつもりはないみたいでずっとくっついたままだ。
ちょっと恥ずかしいけどもう周りのみんなも見慣れた風景だ、と気にして無いし、何よりこのままにしておけば涼介の機嫌はとてもいいから啓介でさえ「イチャイチャすんな!」とか言わないで黙っている。触らぬ神に祟りなし、という言葉を具現化した光景がここにある。


私と涼介がソファーに座っているといろんな人が食べ物や飲み物を取ってきてくれて、動かなくても良くしてくれる。
みんな無言で「おまえはいいから涼介さんの隣から動くんじゃない。じっとしてろ」って目で制してくる。
まぁ、動かなくていいのは楽だし私だって涼介と離れたくないし、一石二鳥だ。

今年も色々あったけど、また来年も楽しくみんなで馬鹿騒ぎ出来るといいなぁ。

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