学校一番のモテ男、白石蔵之助の苦手な事：逆ナンしてくる女の子
「ってあほかぁああぁあああ！！！」
「なんやねん自分、急に叫んで。心臓に悪いわ」
「………………………」
呆れたように見てくる白石をじっとり睨んでもこの男は小首をかしげるだけだ。…くっそ、そんなことしたって可愛いだけだからな…！
なんなんだこの男は。逆ナンが苦手って。そんなの仕方ないじゃんか。
「じゃあさ、白石と接点ないけど仲良くなりたい女の子はどうすんの？積極的に声かけてくしかないじゃん。それなのにそれを苦手とか言ってさ、女の子が可哀想じゃん」
「んー、まぁせやなぁ。けどいきなり知らん子に喋りかけられてもどうしていいかわからんし」
「私は“絶頂ー！”とか叫んでるあんたをどうしていいのかわからないけどね」
「ははは」
「(こいつ…)」
爽やかに笑うだけで場を流せるイケメンが憎い。
確かに白石はいい奴だ。基本誰にでも優しいし器用になんでもこなすけど努力家なのも知っている。だけどたまに人の気持ちに鈍感だとも思う。特に、女の子の気持ちに。
そりゃ男の白石に女心を理解しろっていうのは酷かもしれないけど、これだけモテるんだから少しは分かってあげなきゃ可哀想だと思う。
「でも俺が仲良ぉしたいのは知らん子じゃないしなぁ」
「あ、白石にもそういう特定の子がいるんだ。じゃあもうその子とくっついちゃいなよ。そうしたほうが世の中の女の子も諦めがつくって」
「ほんまか？じゃあ、付き合おう」
「…ん？」
「おわらない、付き合おう」
「…は？」
「俺、自分のことめっちゃ好きやねん。俺んとこに嫁に来て？」
「………あほかああああぁぁああ！！」
「？？」
真っ赤になった顔を見られないように勢い良く立ち上がって教室から逃げる。
なんてことだ。最大の伏兵が自分だったなんて。予想外もいいとこだ。
彼の好きな彼女は私。