オレンジ色の夕日が明るく照らす放課後の教室。
そんな夕日よりも鮮やかな赤い色の髪を持つ不破くんの放った言葉に私は一瞬呆気にとられて、そしてつい、言ってしまった。
「You, kidding me」
「What a…!!」
ぽろりと私の口から出た言葉に不破くんは驚きと共に表情を歪める。
「んな、人の一世一代の告白に、冗談って……そりゃないべ………」
「ご、ごめ…」
頭を抱えてしゃがみこむ不破くんに、思わず謝る。
そ、そうだよね。せっかく 好き、って告白してくれたのに冗談で終わらせるのはあんまり…だよね。
でも、どうしても現実の事として信じられない。
不破くんと私は過去に海外での生活経験があるっていう事で少しずつ仲良くなって、いまでは男の子の中じゃ一番仲良いと思うけど、それでも女の子に人気な不破くんが私を女の子として好きだと思っていたなんてすんなり受け入れられない。
「謝られてもな……ん?もしかして、それって無理って意味かい?!」
「あっ、いや、その、そういう意味じゃなくて、…」
なんかいろいろ勘違いし始めた不破くんに弁解すると、途端にキラキラ輝く彼の瞳。
まずい、と思ったときにはもう遅い。
説明する間もなく、叫び声が耳に響いた。
「ぃよっしゃーーー!それじゃあオッケーってことだろ?!めちゃくちゃ嬉しいべさ!おわらない、愛してる!」
「う、わ、不破くん声が、大きいし、それに、あの、違くて、」
「こんなに嬉しいのはバスケ以外じゃはじめてだべや!俺っ、練習行ってくる!!終わるの、待っててな!!!」
「あの、だから、…って聞いてない………」
ひとしきり満面の笑顔で叫んだ不破くんはエナメルバックを抱えて教室から出て行ってしまった。体育館に向かったんだろう。
…っていうか今日練習あったんだ。もうとっくに始まってる時間なのに…。いいのかな。さぼってた…のかな。
私に弁解の間も与えてくれなかった不破くんは、私が告白をオッケーしたと思ってる。
はぁ、と誰もいない教室で静かに考えてみる。
誤解を解くのもめんどくさそうだし、告白を断る理由も無い、のかもしれない。
それにこれでもっと不破くんと一緒にいられるなら、私も嬉しい。
夕日を浴びてキラキラ輝いていた彼の髪を思い出して、ふっと口元が緩む。
何もかもが勢いまかせな彼だけど、楽しい日々になると、いいな。