私は小さな頃かららしくなんてなかった。




「…どうしたの、それ」

「ん?なにが?」

「その、ネクタイ

「あぁ、祐希にかりたの。似合ってるでしょ」

「…………………………」



私は昔から女の子らしいものが似合わなかった。
スカートも、リボンもなにもかも。
だけど制服はスカートだし、男子ネクタイなのに女子リボンだ。もちろん付けてなかったけど。でも祐希は入学してから全然ネクタイなんて使ってないから貸してよ、と頼んだらあっさりくれた。

我ながらネクタイは似合ってると思う。
なのに目の前の悠太の機嫌は悪そうだ。無表情だけどわかる。付き合い長いからね。




「祐希に返してきなよ」

「いやだよ。リボンとか付けたくないし」

「ちがくて、…俺の、貸すから」

「え?なんで?」

「…祐希のじゃなくて、俺の、つけてなよ」




顔を赤くした悠太がめずらしくてまじまじと見ていればしゅるりとネクタイが外された。



「明日、俺の持ってくるから」



どっちのを付けようがそんなの変わらないじゃん、とか、なんで、とか。
聞きたいことはあったけど、なんだか聞いちゃいけない気がして黙った。

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