ひらり、ひらり


季節外れの狂い咲きの桜が俺たちのめくらましをするかのように舞い散る。



ひらり、ひらり


雪と桜が際限無く落ちてくる中、また夢はアクマの群れの中を駆け巡る。



ひらり、ひらり


俺の六幻によく似た細く、長い刀を流れるように振り回しながらアクマの魂を狩っていく。



ひらり、ひらり


舞い続けるのは桜と雪とまた夢とアクマの魂。


ひらり、ひらり


誰が一番先に歩を止めるか。誰が先に尽きるか。



ひらり、ひらり。



「ちょっと、神田もちゃんと働いてよ」

「…あぁ。わかってる」



一段落ついたのか、俺の方まで戻ってきて呆れたように声をかけてくるまた夢。

いままで動き回ってたこいつの髪や服には桜と雪が沢山ついていて、思わずひとつ取ってやる。



「んっ、ありがと」

「…………………」

「…神田?はやく終わらせて帰ろうよ。今日はジェリーさん特製ディナーって言ってたから楽し「おまえは散るなよ」…、?」

「おまえは、散るな」

「なに、言ってんの?神田、」

「……別に。さっさと終わらせて帰んぞ」

「、うん。そうだね」



雪が散ったら雨になって、また雪になる。
桜は散ってもまた春になれば花をつける。
アクマの魂がいくら散っても知ったことじゃ無い。

だけど、こいつの命は散ったら、もう戻らない。

舞うのは好きにしろ。だけど、散るな。

おまえにはまた花を付ける春は、やってこないんだから。


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