「……Bell、?」
「……………………はい。そうですが。」
寮の玄関口に麻子と歩いていくとそこにはもうスーツ姿の手塚と堂上教官と小牧教官がいた。
今日行くところは、経費自己負担じゃないから奮発してちょっといいところのレストランだからちゃんとした服を着て軽く化粧をしたっていうのに、光は私を見た瞬間ぽかんとした顔で私かどうか本人確認をしてきた。
教官達もめちゃくちゃ穴があくほど見てくるし、失礼だ…!
正直この中の誰よりもパーティーに馴れているって自負しているし、ちゃんとしたところにちゃんとした格好で行くのはあたりまえなのに。
「…、へん?」
「いや、!」
あんまりにも見られ過ぎて、つい怪訝な顔で窺うと全力で首を振って否定してくれたから、まぁいいとしよう。
「この子が化けたから見とれちゃったのよねー?」
にやにやに限りなく近い笑みを口元に携えてふざけた事を言った麻子はやっぱり可愛い。
なにより濡れるような黒髪をアップにしてて、それがまた色っぽいと思う。
「ねぇ?堂上教官?」
この子、可愛いでしょう?とふざけた絡みを教官に発動した麻子は強いと思う。
だけどこの状況で楽しいのはきっと麻子と抑えきれてない笑いを抑えようとしてる小牧教官だけだと思うから、やめてほしい。
「じゃあ、予約の時間もあるし行きましょうか」
勝手に爆弾をばら撒いておいて勝手にあきて次のことにひょいひょい行く麻子は、このメンバーだとなにも気兼ねしなくて楽みたいだけど、正直ちょっと付いていけない。
こんな恥ずかしい思いさせられるなら、食事の事 隠しておけばよかったと若干後悔。…いや、麻子いてくれて私も嬉しいけど、ほんと、からかわないでほしい…!
麻子の背を追って少し早く歩いて、堂上教官の横を通った時見えた顔は少し赤くなってたように見えたのはたぶん、気のせいだ。
………小牧教官にからかわれるように小突かれていたのも、きっと、気のせいだ。