「え、なに?食事会?誰と?」
「班のみんなと」
なにそれ私聞いてない、と身を乗り出してきた麻子に、若干とまどう。
そんな、今日ぱっと出てきた話を既に麻子が知ってたらいくらなんでも怖いよ、という言葉を飲みこんで説明する。
「みんな出身が東京で、里帰りって言っても一日で済んじゃうから残った有給使ってみんなでご飯でも食べに行こうか、って」
「忘年会みたいな感じ?」
「うん。経費も玄田隊長にごり押ししたら通っちゃったし」
「なにそれずるい!私も行く!」
「でもたしかその日、麻子の新幹線の日だよ?」
そりゃ麻子が来てくれたほうが楽しいけど。
小牧教官は良いとして、このメンバーでご飯行ってもどのタイミングで盛り上がるんだ、っていうのが本音だし、同性の麻子がいたほうが楽しいに決まってる。
「そんなもん日にちずらすわよ。ってことで、堂上教官に連絡しておいて!」
めちゃくちゃ強引だけど、麻子のこういうところ好きだ。
よし、早速堂上教官に報告報告。
『どうした』
「あ、夜分にすいません」
もしもし、とか飛ばしていきなりどうした、なんてせっかちな人だな、と思うけど彼らしいといえば彼らしいから苦笑してしまう。
「年末の班での食事のことなんですけど、麻子、……柴崎も行っていいですか?」
『あいつは実家帰るんじゃなかったか?』
「そうなんですけど、………だめですか?」
今回は隊からお金が出ているから、特殊部隊じゃない麻子が行くとちょっとややこしいのかな、……拝むような気持ちで聞き返すと教官は少し迷ったように間を置いてから息をついた。
『…いいだろう』
「!」
『玄田隊長には俺から話を通しておく』
「ありがとうございます!」
おやすみなさい、と言って電話を切る。
よかった!教官意外と話わかる!
「堂上教官なんて?」
「あ、おっけー」
親指と人差し指でわっかを作って見せるととたんに麻子は嬉しそうに笑った。