やばいよね、絶対怒られるよね。

さっき安全確認にきた人もやばい人見る目で私の事見てたもん。きっとタスクフォースにも連絡入ってるよね。いや、入って無いわけないか。


事も全て済んで、いまは現場の事故処理に追われている。
さっきいくつか質問されて、その後私もなにか手伝おうと思ったのに強制的に休まされている。

いまは玄田隊長の到着を待っている状態。
絶対堂上教官も来る。

結果オーライだったとしても、あそこで発砲したのはやっぱり常識の範囲を超えていたんだ、と周りの人のリアクションで嫌ってほど分かる。
でも、仕方ないじゃん…!あのままみすみす司令を引き渡せるわけがない。
………だけどもし本当に爆弾が仕掛けられてたら、やばかった。
私の首を飛ばすだけじゃ済まない事になってただろうし、やっぱまともな人間の下す判断じゃなかったの、かも。
良化隊が絡むとどうしても本能で動いちゃう。
一応良化隊じゃないってことで一人一発ずつにしておいたけど…。

あぁ、こんな風にいろいろ考えちゃうから身体を動かしていたいのに…!

やっぱり手伝えることを探そう、と立ちあがって周りを見渡すと、よく見なれた顔が遠くに見えて思わず動きを止める。

するとあっちも私に気づいたみたいで、怒っている顔を隠そうともせずに寄って来た。



「Bellっ、おまえって奴は、!」



怒鳴られて、思わず首をすくめる。
この人はあんまり身長がないけど、その分 目と目がよくあって叱られるのは苦手だ。

でも、仕方ない。甘んじてお説教を受けよう、と決意して顔を上げるとそこにあったのはさっきまでの怒りの顔じゃなかった。



「無鉄砲なことしやがって、…馬鹿野郎」



そう弱く消えそうな声で言うと、声とは対照的な強い力で身体を引かれた。

あ、と思った時にはもう堂上教官の腕の中にいて、どうしていいのか戸惑う。

反射的に押しのけようとしたけど、教官の腕が、身体が微かに震えているのに気づいてそれをやめる。



「…、ごめんなさい」



するりと自然に出てきた言葉だった。
ごめんなさい。無茶してごめんなさい。規則を破ってごめんなさい。気づかいを水の泡にしちゃってごめんなさい。…心配かけて、ごめんなさい。


いまなら素直に言える。
いま、言わなきゃ。未来が必ず待っていてくれるとは限らない。


「ごめんなさい。あんな事言って、ごめんなさい。あんな事思ってないです。言わなきゃよかった、なんて思ってないんです。…本当は、堂上教官に聞いてもらえて、嬉しかったんです」


過去にも数人にあの忌わしい出来事の記憶を話した事がある。
だけどその度決まって寄こされる視線は、憐れみの視線か、脱臼を無理矢理はめた私への気味悪そうな視線。

だけど、それが普通の事だと思ってた。
だからあの日、あの話をした時堂上教官がなにも言わずに、ただ私の目を真っすぐ見て話を聞いてくれたのが、心の底から嬉しかった、
あの時、もう喋るな、って言って私の事を抱きしめてくれた教官の腕を、私は一生忘れることはないだろう。
温かくて、優しくて。
久しぶりに心から安堵したのを覚えている。
そして今、またこの優しい腕の中で、私は素直になれる。



「本当に、ごめんなさい」

「………もういい。……、今日はよくやった。お手柄だな」


そう少し笑って頭を撫でてくれたのが、またひどく嬉しかった。



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