「あー!…もー!」
「うるさい」
私の叫びに麻子が厳しく声を挟む。
堂上教官と話した後、部屋に戻ってからは自己嫌悪の嵐。
あぁ、怒ってたとはいえ、勢いにまかせていらんことまで言っちゃったな…。
あんな暴言吐いて、それで気分が晴れるわけもないのに。
むしろ後悔の念でいっぱい。
明日の戦いは激しいものになる、って事は私でもわかる。
もしかしたら、最悪死者が出るかもしれない。
訓練じゃない、本当の戦争なのに、出発前にあんな事言っちゃって、もしこれで、本当に万が一堂上教官になにかあったら………。
そう考えるとまた一気に後悔の波が襲ってくる。
「そんなに悩んでるんならひと言謝ってくればいいじゃない」
「でも、…もう、迷惑、………だよ」
どこまでも後ろ向きな私に麻子は一つため息を寄こす。
いまの自分がうざったいのは分かりきってるけど、これで普通にしていられるほど無神経でもない。
なんであんないらないこと言っちゃったんだろう。
堂上教官に話さなきゃよかった、なんて思ってもいないのに。
私の口は、たまに私の意思通りには動いてくれない。
堂上教官もなにか理由があって私をはずしたのに、それを真っ向から否定した私も悪い。………でもその理由を教えてくれない教官も、わるい。
それでも、やっぱり私が言ったことは最低の事だと思う。
もうきっとみんな出発する頃だ。
今日は謝れないけど、だけど、この戦いが無事に終わったら、絶対謝りに行こう。