一日中書庫を走り回って、新規リクエスト、他館リクエスト、地下書庫リクエスト、と本を探し回っていたら、15冊の所在不明図書が出てきた。
私はそんなに気にしてないままなんとなく麻子にそのことを部屋で話すと予想以上の反応が返ってきて、ちょっと驚いた。
「15冊も?それってちょっとおかしい…。一ヶ月前に館内整理したばっかりよ?」
「そうなの?15冊くらい見落としたんじゃない?」
「そんなわけないでしょ!1冊や2冊ならまだ納得できても、15冊よ15!何か裏がるとみていいわね」
「うん…15って数字は良い数字なんだけどね」
「はぁ?」
「3掛ける5だよ!もう、本当に素敵で完璧な数字だよね。非の打ちどころがない」
「…あんた、奇数好きよね」
「あぁ、それもあるかもね。なんか偶数って無闇につるんでる、みたいな感じして美しさを感じないんだよ。でも例えば偶数でも126とかはすごく好きだけど奇数だけど7嫌いだし…」
「わかった、わかったからもう寝るわよ」
そう言って立ちあがって電気を消しに行った麻子を見て、ベットに入る。
「………でも、やっぱり気になる…今度の会議で話してみるわ」
「うん。おねがいね」
麻子は頭が良いからいろいろな事を深く考えるけど、それは良い事だと思う。
そして、その麻子が私に頼んで堂上班を呼びだしたのはその翌日のことだった。