「先日は、大変お世話になりました」



深く頭を下げたVictoriaに差し出されたぷりんを思わず見つめる。



「本当に、なんてお礼を言っていいか…。ありがとうございました。」


そう言ってまた頭を下げたVictoriaを、今度は見つめる。


集中訓練のクマ騒動で、俺に抱きついたまま寝たVictoriaを苦労して離して、陽も昇って来た頃自分のテントに戻ったのがつい昨日のことのように思い出せる。

その事を誰かから聞いたのか、ものすごく申し訳ない顔をして基地食堂に連れ込まれたのがつい10分くらい前の事。
それから永遠謝り続けられて、やっとそれも終わったかと思えばVictoriaが立ちあがってふたつのぷりんを持って帰って来たのが3分前。



「これ、食べてください。せめてものお礼です」

「あ、あぁ…」



深刻な顔をしてスプーンを差し出してくるVictoriaに逆らえなくてついそれを受け取る。

本当は甘い物はあんまり好んで食べないが、ここで断るのも良くない、だろう。




「………………」

「…?どうしたんですか?甘い物は疲労回復にいいんですよ?」



もう自分の分のぷりんを食べ始めていたVictoriaが、なかなか手を付けない俺を不思議そうに見てきた。


そんなぷりんを食べてる仕草でさえ可愛い、と思う俺はそうとうやられているらしい。




「いや、…なんでもない。」



平静を装ってぷりんを口に運ぶと、瞬時に広がる甘い味。

少し視線を上げると、嬉しそうな顔をして甘い顔をするVictoriaの姿。


こんなことがあるのなら、あのふざけた恒例行事もいいのかもしれない。


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