結局柔道の一件は私があの日無性に虫の居所が悪くて、あのような破天荒な行動にいたった、ということで周りは落ち着いたらしい。
まぁ本当はまったく違うけど、だからといって説明する気もないからそういうことにしておく。


「今日の警備、俺とだぞ」

「………………」

「…なんだその若干嫌そうな顔は」


若干、じゃないんだけどな。
堂上教官と一緒にいるとどうしても周りが好奇の目で見てくるからなるべく一緒にいたくないのが本音だけどそんな我儘もいってられないよね。


「いえ、…べつにそんなことないですよ」


少し視線を外して答えた私に、堂上教官はまた声をかけてくる


「、なんだ?具合でも悪いならそう言えよ?」


…この人の、こういうところが少し苦手だ。
優しすぎるから必要ない事まで、私のことなんかまで心配してくれて、本当に優しいから、心の籠った優しさだから、それが私にはちょっと居心地が悪いんだ。


「大丈夫ですよ」



ゆるく笑って否定する私を少し見つめてから、そうか、それじゃあ行くぞ、と声を掛けてから堂上教官が歩き出す。


この人は私には優しすぎる

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