冬に着るには少し短めのスカートをはいてみんなの待っている部屋に入ると、その、視線が、ものすごく痛い…。
「そんなに見られると、恥ずかしいのですが…」
「わ、悪い」
バツが悪そうに視線をそらした光と堂上教官を綺麗に無視して小牧教官が笑う。
「いいね。どっからどう見ても普通の女の子だ」
「どうも」
一応これは、褒められている、のかな?
この小牧教官の笑顔の裏にものすごい緊張があることを知っているから、大人しくなにも言わずに言葉を受け取る。
「黙ってればか弱い女に見えないこともないですね」
真顔で失礼なことを言いだしたのはもちろん光。
こいつ、仮にも一回私に告白したっていうのになんなんだこの失礼な言い草は。
「…いけるか?」
それまで赤い顔を隠すように会話を避けていた堂上教官が声をかけてくれる。
そろそろ開館時間だ。
「はい」
「柴崎、頼んだぞ」
「もちろんです」
麻子の返事を確認して深く堂上教官が頷く。
図書館員が近くにいたら変態男も手が出しづらいだろう、ということで極力みんなには近寄らないでもらうことになっている。
側にいるのは、私服を着て一般利用者を装った麻子だけ。
「なにかあったら連絡しろ」
最後まで心配そうな顔の教官に笑ってみせてから図書館に向かう。
さぁ、これからが本番だ。