宙〜そら〜


小さな窓の外

小鳥が囀る


今日も小さき者たちが

空を羽ばたこうとしている


我々は

あれを自由と呼ぶけれど

彼らは地に縛られている



星よ

この輝きは

現在もあるのだろうか?

既に失われた輝きを

我々は見ているのだろうか?

過去の残像

今、目の前にある輝きは美しい

あるかどうか分からない星よ

あなたの過去を

私は讃えよう

美しい

と…







――かつて

英雄と呼ばれた

一人の人間が

静かに

息を引き取った瞬間だった…





世界は

彼を求め

彼を奉り

彼を妬み

彼を僻んだ


そして…

彼を消し去った



力を持った者は

尊敬と畏怖の的であり

祝福と嘲笑の的である



彼は

世界に平和をもたらした


彼は

世界に見返りを求めなかった


しかし…


世界は

彼に絶望をもたらした


世界は

彼に苦しみを強いたげた



あぁ…

彼に何の非があったと言うのだろう?


偽善を振り翳すだけの王

その喉元を貫いたのは

彼の剣だろうと

その剣を振るったのは

騎士団長であるというのに…


跡を継いだ幼き王は

参謀の駒となり

彼は冤罪を強いられた



囚われたおりに知らされた

仮初の平和に

彼は嘲笑もせず


ただ

静かに微笑んだ



彼が息を引き取ったのは

もう誰も彼の名を

呼ばなくなった頃…


打ち捨てられし剣は

宙に想いを馳せて…



〜fin〜



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