ある晴れた昼下がり。
人目を盗むようにこっそりと岩影に停めた車の車内で重ねた唇。



「ちょ、ナっ……ん!」




力ない拒絶は無視して、重ねたそれを深くして。
狭い車内に小さく響く水音が背筋をぞわりと這い上がる。


キモチイイ。


脳が麻痺するように、思考回路が薄ぼんやりとしてきた、その瞬間。



「っ……はぁっ、も、もう終わり!」

「、…え?」




その時間は、突如として真っ赤になった彼女に強制終了させられた。




「……短かくねぇか?」

「こ、これ以上はだめだ!ていうかこんなことのために呼び出したんなら帰るぞ!」



そう言って足早に車を降りようとする彼女を慌てて引き留める。
なんとか思い止まってくれたルーシィさんを座席に座らせて謝ると、ああいうのはあんまりしたくない、と爆弾を投げられた。




「な、何でだよ」

「何でって……っあんた最近車乗ったらすぐこれじゃん!い、いい加減にしろっ」

「……だって、したい」



怒るルーシィさんにそう呟くと、顔を真っ赤にさせてぐっと押し黙るもんだから、たまらなくなってしまってまた顔を寄せる。


……けれど。



「っいい加減にしろ!」




その瞬間我にかえったらしい彼女が慌てて距離を取った。
押し返された胸がズキリと痛む。



「っ会えばいつもこんなんばっか……盛ることしか頭にないのかよっこのスケベ!!」

「いっ……!」


ぱしん、と良い音を立てて頬が殴られる。
ヒリヒリとした痛みに耐えていると、いつのまにか彼女は外へと逃げ出していた。


追いかける暇もなく消えていったルーシィさんの背中を見つめながら、深くため息をつく。



「んなこと、いったって仕方ねぇじゃん……」




好きだから触りたい。
ごく普通の、男なら誰しもが抱く感情だろう。



「はぁ…………」



正直、がっついてるなとは自分でも思うけれど。

それでも彼女に触りたくて仕方ない。


会えば抱き締めたくなるし、笑顔を見ればキスしたくなる。
それはもう何回でも。


……けど会えば毎回何かしら触れようとする僕を、どうやら彼女は良く思っていないらしい。


最初の頃は恥ずかしがりながらも受け入れてくれていた行為も、最近では触れようとするたび盛大に逃げられる。


運良く触れたとしても、短い時間だけ。



”会えばいつもこんなんばっか……っ”





……確かに最近触りすぎなのかも。

今日の感じからしたら次また同じことをしでかすと今度こそ嫌われかねない。




「……自制するか」




色々遠回りもしてようやく手に入れた彼女。
こんなことで嫌われるなんてたまったもんじゃない。




ならばここは我慢することで誠意を見せよう。
そして、彼女が許してくれるのを待とう。



「……はぁ」



ゴン、と額を打ち付けた愛車から、エールのようなクラクションを頂いた。






ああ……キス、したいなあ。





……僕のガラスの理性はいつまで持つのだろうか。







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口調は車乗ってるから強気でも脳内は弱気な方のエドナツ。

欲望まっしぐらな中2的エドナツさん。




















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