世界なんて嫌いだ
彼がそんな風に言うから
それじゃあ私は
世界を愛してあげよう
って思ったんだ

ここで死ねるのなら
それはそれで
結構悪くないんじゃないかなあ

割れ物みたいに扱って
あなたはわたしをどうしたいの
教えてくれなきゃ
なんにもわからないのだわ
わたしはばかだから
あなたの思いなど
全然、わからないわ

胎内にいたころ
僕の母さんはとっても優しくて
まるで女神だとか
思っていました
まあ、正直言えば
そんな記憶はありませんけど
ごめんなさい、てへぺろ

雪が降り出すようだ
だからこんなに寒いのだ
心も、体も、全部が全部
こんなにも、寒いのだ

春に生まれて
夏に恋をして
秋に涙を流し
冬に息を止め
また春に、こんにちは
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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