なんだか眠たそうにしていた水瀬に生徒会の仕事が終わったら家まで送ると言って、嫌がる水瀬を無理矢理に別室のベッドに寝かせた。



……全く、君の身体で8000円を払う、なんておかしいよね。君の身体は値段なんか付けられないくらい素晴らしいものなのに。


「…僕、少し変になったかも」

片手で眼を押さえながら自らに言うように静かに呟いた。


「……会長?」

それを不審に思った如月が僕の顔を覗き込んでくる。

「なんでもないよ」

僕が普段こんな風に俯くことがないから驚いているのだと思う。いや…僕も実は驚いているんだ。


僕は今まで特定の誰かと一緒にいたいなんて思わなかったのに。昨日も今日も水瀬を呼んで犯して、それで満足するかと思ったら全然しなくて、8000円に託つけてまた会おうとしてる。

…それも変だがこっちも変なんだ。
僕にねだる女とか男なんて腐る程見てきたのに、ただ水瀬が僕にねだっただけであんなに煽られるなんて。…あんなこと初めてだった。
って事はどうやら水瀬は僕にとって何か特別らしい。何度も呼びつけては会いたくなるのも、何度も犯したくなるのもきっと…、



「僕……水瀬にはまっちゃったみたい」

あぁ、なんかそれが一番しっくりくる。そっか、僕は水瀬が気に入ったのか。

そう思ったらなんだか楽になった。胸の奥がもやもやしていてずっと気持ち悪かったんだよね。…ずっと忘れていた感覚を久しく思い出したみたい。


「如月、これから水瀬をチェックして」

「水瀬を…ですか?」

呼んだから近くに来た如月が首を傾げる。どうしてあんな不良を、と言いたげだ。

「服装に乱れがないか、とゆう事ではなく?」

「まぁ服装も、だけど例えば言動、行動、すること全て。彼が普段何をして、どう過ごしているのか気になっちゃって」

要するに僕が水瀬に興味を持ったから調べろって事。…いや監視しろ、の方が正しいかな。


こんなの、明らかに生徒会長としての権限の範疇を越えてはいるが、僕にそんなものは通用しない。
今だって、ほら。

「承知しました。親衛隊の方にも伝え、情報を随時こちらに届けるようにいたします」

如月は変わりなく命令に従う。そんな如月に僕はありがとうと言って彼を自席へと帰す。



……さぁ、明日から楽しみだ。水瀬、君がどんな風に学校生活を送っているのか観させてもらうよ。
僕は別室に目を向けながらニヤリと微笑んだ。




END