「正常位の方が気持ち良くしてあげられるかな」

「…は?」

突然兄がそんなことを言った。俺は身を硬くする。

「その方が前立腺刺激しやすいと思うんだ」

「…え?…いや、だからって…」


何を冗談。
まだ、バックだったからこの理不尽な行為にも耐えられた、とゆうのも少なからずあるんだ。だって顔もされてる事も見えないし。
なのに、正常位なんてしたら、兄にこんなことされてるって処を見ざるを得ない。このことを容認しなきゃならなくなるじゃないか。

…そんなの嫌だ…。

「せ、正常位なんか嫌だ…!も…いい、から!」

「そうゆう訳にはいかないよ。」

俺もそうゆう訳にはいかないんだよ!
そう喚くものの、兄は聞く耳など持たず繋がったまま、俺の身体を反転させる。

その時に、挿入したままの兄の性器が中の前立腺を掠めた。

「……っはん…っ!」

「ほら…やっぱりこっちの方が気持ち良いでしょ」


だからって…っ!
無理矢理正常位にもっていかれて脚を開かれる。
そんな態勢嫌で、抵抗はしたけど無駄だった。兄の力の方が強い。
それに手も縛り上げられてるから意味は為さない。
唯一、俺に出来たのは眼を背けることだけだった。

「…じゃあ動くね。痛かったら言って」

少しの優しさを俺に投げて、兄は動き出す。

「…っぐっんぅ…」

ああ痛い痛い痛い。
どこが気持ち良いわけ?バックとそんな変わらないじゃん。
痛かったら言って、とか兄は言ってたけど、言った所でこの行為は終わる訳ではないだろう。
現に今だって俺が痛がってるのに気付いてる。それでもやめないってのはつまりそうゆう事だ。





もうされるがまま、いや、ヤられるがままに痛みに耐えてきた俺だけど、
兄が中を擦る度に、違う感覚が溢れてくるのを感じた。これは痛みじゃない、快楽だ。
それで は、とする。
さっき弄り倒していた前立腺を兄が慣れないながらに懸命に突いているからだ、と気付いた。
経験のない兄にとって、一点を集中的に突くなんて難しいのだろう。だから、快楽がじわじわと溢れるように来たのか。


「…っん…ぁ…は」

中を擦る感覚にピクン、と身体が跳ねる。
…やばい、感じてきた。
指でヤられる以上だこれ。最初は尻なんかに指だのチンコだの入れるなんて頭おかしいし、気持ち良いわけねぇじゃん。って思っていたけど、

これは…本気で堪らなく良いかもしれない……。


「…っんっん…っはん…んぅ…っ」

俺のその反応と、声で気持ち良いのだと判断したらしい。兄はさっきよりも腰の動きを早くする。
突く場所は変わらないから、必然的により多くの快楽が俺に与えられた。

「…っん!…っっんっふ…ぅっ」

比例して、溢れる声もでかくなる訳で。
こんな女々しい声、恥ずかしくてとてもじゃないけど出せないから、本当は手で口を塞ぎたいけど縛られてそれも叶わない。
だから俺は必死に唇を噛んで耐えた。途中、デカイ波がきて、ぐっと噛んだら八重歯で唇の端が切れたらしい。少し鉄の味がした。


「…祐輔、唇切れてる」

それに、兄はいち早く気付いた。腰の動きを止め、屈んで顔を俺に近付ける。
俺は息荒荒にそれを見ていた。
兄は、ゆっくりと俺の唇に唇を寄せ、切れた部分に触れる。そして、またゆっくりと舐め、ちゅう、と吸う。

それを兄は繰り返した。
前立腺を突かれ昂っている俺の身体は、傷口を慰めるその行為にさえふるふると奮える。

…これはキスじゃない。傷口を舐めてるだけ。
そう自分に言い聞かせるも、考えると余計にしたくなる。
だって今は気持ち良いこといっぱいしたいし欲しい。こんな思考に蝕まれている俺が我慢なんて出来るわけなかった。

俺はわざと頭を動かして兄の唇を浮かせ、そこに自らキスをした。
思ったより柔らかいし気持ち良い。もっと、と言うように唇を押し付けると、兄はなぜか逃げてしまい、唇が離れてしまった。

「………っ」

今更兄が驚いてる。
きっと俺から仕掛けたからだろう。でもそんなのもういいじゃん。2人でするもんでしょセックスって。気持ち良い事は互いに求め合えばいいんだよ。
…なんて、兄に強姦されてる俺が言うセリフじゃないんだけどね。でも、もう気持ち良いからいいんだ。


だから
キス、しろよ。

と睨みで伝えれば兄は恐る恐ると言うように近付いてきて、再び唇が重なる。

「…ん…んっ……ん」

ちゅ、ちゅう、くちゅ…

始めは唇を啄むようにキスをする。でも次第に深くなって言って最後には互いの唾液を交換するような、激しいものになっていた。

やらしい水音が俺の耳を犯し始める。
どちらのともわからない溢れ出た唾液が喉を伝う感覚にも身体がひく付く。


「…祐輔から、求めてくるとは思わなかった」

「……別に…いいじゃん…」


改めてそう言われると恥ずかしい。
ふい、と顔を背けると、兄は俺の手をきつく戒めていたビニールヒモを解いた。突然手が自由になって、驚く俺。
きつく縛られていたせいか、指先は冷たく、ぴりぴりと痺れていた。手首には赤く擦れた痕があった。

「痛かったよね、」

「─…まぁそれなりには…って っあっああっ!」

まだ喋ってる最中。
なのに兄のやろう急に止めてた腰を動かしやがった。
ソコを突かれ、思わず上がったはしたない声に驚いて 俺は急いで口を両手で塞いだ。


「─口、塞がないでよ」

「…んっ!ん!ん!ん…っ!」

ずっずっずっずっ、


「ね…手、外して?」

「…んん!んっ!…んゃ!あ!ぃやら!やらあっ!」


両手を外され、ベッドに押し付けられると、もう声はだだ漏れになった。口を閉めようにも言葉が絶えず溢れてきて閉められない。

「あ!そっそんなぁっ!激しく…しな、ぃでっ…!」

「祐輔が…こんなにエッチだなんてしらなかった…。」

「…っぉ、い!聞いてん…っぁあんっ」

「聞いてる。僕が思うに祐輔は、激しいのが好きだと思うんだ。だから激しくして、るんだよ?」

「…好き…じゃ、ない…っん!んっんああっ!」

ビクンッと身体が跳ねた。背が浮く程に。
兄が俺の性器に触れたのだ。

「もう僕イきたい祐輔。一緒に…イこう?」

兄はそう言って俺の性器を擦り始めた。もちろん腰も動かしたまま。

「あぁっ!や、やめ…っそんな…こと、っ!」

─……そんなこと、されたら 狂う…っ。


ずっずっ、
ぐちゅっぐちゅうっ

初めての俺には容赦のない突きのオンパレードで。尚且つ性器まで擦られて昇り詰めないわけがなかった。
「ああ!あっ!まっ…ん!んっああぁー…っ!」

ソレはあっとゆう間に訪れて、俺は悲鳴にも似た声を発して達した。
少し遅れて、中に熱いものを注ぎ込まれるのを感じて身体がぶるっと奮えたが、もう昂る元気もなく。
身体を包む心地良い感覚に思考を委ね、俺はゆっくりと眼を閉じた。