「…んっ…んんーっ…」

「ここ、そんなに善い?」


兄の指が集中的に前立腺を攻め立てる。明らかに不快ではない感覚。
二本の指で前立腺を挟むように擦られるとビクビクと身体が勝手に反応してしまって堪らなく善かった。

「…んっ…ぅん…」


口塞ぎの為に噛まされていたタオルはもう俺の唾液でぐちゃぐちゃだ。兄はそれを見てタオルをゆっくりと外した。

「祐輔」

「…っはぁ…ぁっ…く…」

猿轡を外された。
だが、こんな状態だ。どちらかと言えば俺は取って欲しくなかったとも言える。

「はっはっ…ぁ、ありえ、ねぇ…っ」

これは自らの身体に向けて発した言葉だ。
だって、さっきは気持ち悪いとしか感じなかったのに、今はそれが嘘の様に気持ち良い。
兄のテクか?
…いんや、そんなテク、兄がもっているとは思えない。
じゃああれか?俺のサイノウってやつか。
…って笑えない冗談。そんなサイノウいらねぇよ。



「…っあぁっ…!」

なんて。くだらない考え事をして油断していたせいか、前立腺を強く擦られて思わず大きな声がでてしまった。
……いっ今の俺の声…?!
なんつー気色悪い声出してんだ俺…っ
あんな声、出せるんだ、と感心する一方、やはり猿轡を噛まされていた方がよかったと心底思った。




「っん…、ん、ん…んぅ…」

「祐輔。すごいね。もう3本も入っちゃう」

「んっ…ん、…んぅん」


3本…。そんなに。
もう身体の持ち主である俺でさえ、身体の中に只今指が何本いるかなんてわからない。わかりたくないってのもあるが。

「もう3本の指じゃあ余裕そうだよね。祐輔の身体、エッチだね」

その言葉にカッと身体が熱くなる。
自分でも思った。こんなありえない行為を強要されているにも関わらず、俺は感じているなんて。これじゃあ本当に…変態じゃないか。

「…っくぅ…、ん…ん…ふ」

唇を噛んで声を殺す。
もうあんな情けない声は出したくない。
兄は、そんな俺をじっとみていたけど 不意に空いてる片手で俺の尻を揉んだ。


「祐輔。ごめんね。ほんとはここまでする気はなかったんだ…。でも、」

でも、そこで言葉が途切れて、兄の話に耳を傾けていた俺は不審に思った。
しかしその想いも、直ぐに吹っ飛ぶ。

指が抜かれた、と思ったら尻の孔に、熱い何かが押し付けられた。

…嘘。嘘嘘嘘!
これって、もしかして、いやもしかしなくても…!


… 犯 さ、 れ … っ



「…いっ!嫌だ!嫌だ嫌だ!待って、頼むから、待っ…」

「ごめんね、祐輔…」


「ぁ゙…っあっああぁ゙!」






ぎち、とでも言うような音が聞こえた気がした。
それほどまでに、兄のモノの挿入は辛くて痛かったんだ。

「っはぁはぁはぁ…ってめぇ…殺す…っ」

「ごめんね。だから僕も、祐輔が慣れるまで待つから」

「…んなもん…いらねぇよ…。さっさと抜け」

しかし兄は抜かなかった。そして動かなかった。
でもそうやって動かないでいられると、逆に中にあるモノの存在を気にしてしまう。

…とうとう犯された。
喧嘩負け知らずとも言われる、強い俺が。
男に。しかも兄に。
俺の精神的ダメージははかり知れない。


それに。
今俺の中にいる兄のモノ。そいつに、俺の意識がいかない訳がない。

………わぁ、やべぇ。
どくどくいってる。
あいつの、脈うってる。
それに硬いし…。
そんなに、俺の身体に興奮してんのかな…


そう思ったら、無意識に後を締め付けてしまった。
うわ、まじ俺何してんのばかがああ
それが自分でも分かってしまったから燃えるように恥ずかしかった。
余計、余計兄のモノを感じた。熱くて硬くて太くて…ってまじやめろ俺ええ!

もう恥ずかし過ぎて死ぬと思った。だからシーツに思いっきり顔を押し付けてもう何も考えないようにしようとした…のに。

「……ひぅっ!…」

「祐輔、辛い?やっぱり痛い?」

その行動を辛いからと判断したらしい兄が、俺の性器に手を絡めてきた。
別に萎えている訳でもないソレを、兄は上下に抜き出す。

……つか萎えてねぇってどうゆうこと…。気づけば孔も然程痛くねぇし…俺の順応の早さって一体…。

「…っは…ん、ん…ぁ」



あ…。兄の手、…気持ち良い…。
堪えきれずに俺が声を洩らすと、兄もゆっくりと腰を揺らし始めた。

「…っぐ…ぅ は、」

だが、そっちは痛い。兄の動きに合わせて中の壁も引っ張られ、強がってはいるものの、実は涙が出そうなほど痛いのだ。

「…痛い?…よね。身体にすごい力入ってる」

当たり前だ。痛みに身構えなきゃ泣きそうだもん。

「…っぐ…ん…、ん…ふ」

でも、俺の性器を抜く兄の手は気持ち良い。もうちょっと強く擦っても良いが、それでも意識が紛れる位には良い。
後ろは痛いけど前は気持ち良い。なんだか変な感じだった。